近年、企業戦略において、M&Aやアライアンスの持つ重要性が高まっています。
特に、他国への進出、多角化の局面において多用される傾向にあります。
M&Aとアライアンスとは
M&Aとは(Merjers and Acquisitions)とは、合併や企業買収のことです。
合併とは、復数の企業が法的に合同して一つの企業になることであり、企業買収とは、丸ごと買い取ることです。
合併には、吸収合併(一つの存続企業が他社を吸収する)と新設合併(すべての企業が解散・消滅し、別個の会社をつくる)があります。
アライアンスとは、復数の企業が相互に何らかのメリットを得ようとして協力体制を構築することを指します。
M&Aとアライアンスの効用
M&Aやアライアンスの目的は、究極的には、事業における優位性の確立です。
その狙いでもっとも大きいのは、確立している既存事業を手に入れ、一定の規模とコア・コンピタンスを一気に確保することで、「時間」を節約し、「競争優位性」を買うことです。
進出しようとしている地域や事業において、ゼロから独自に事業を展開し、ノウハウを獲得し、競合に対して競争優位を確立するのは、膨大な時間を要します。
また、ノウハウがない領域で競合企業に勝つのは容易ではありません。
M&Aやアライアンスは、こうした障壁を乗り越えるうえで有効です。
また、ストラテジック・アライアンス(戦略的提携)は、強者が他社と組んで、強者連合をつくるという意味合いがあります。
M&Aとアライアンスの比較
M&Aとアライアンスにはそれぞれメリット・デメリットがあります。ここでは、M&A(買収と合併)、アライアンスという3つのくくりで比較をしてみます。
メリット | デメリット | ||
M&A | 買収 | 意思決定構造を単純化できる
一方が他方を最も |
最もコストを要する
買収価格によっては 組織文化の摩擦 解消が極めて困難 |
合併 | お互いのコアコンピタンスを 尊重しながら 事業運営できる株式交換をすれば 調達するコストが 比較的少なくて済む |
取引構造が複雑になる
法的手続きが大変 組織文化の摩擦 解消が困難 |
|
アライアンス | 資金の必要がない
法的手続が容易 関係解消が簡単 |
シナジー創出のスピードに欠ける
提携解消に至った場合、 |
M&Aとアライアンスは、それぞれのメリット、デメリットを考慮して、選択する必要があります。
M&Aの成功条件
M&Aは、経営への影響がとても大きいスキームです。
失敗しないためには、以下のプロセスが重要です。
①買収前の準備
自社の事業ポートフォリオを検討し、多角化、進出等に関する基本方針を固めます。
そして、M&Aの戦略的意図を明確にすることが重要です。
②交渉
次に、買収相手の選定、相手の評価、交渉へと進みます。
ここで大切なのは、適切な価格でのM&Aです。交渉をなんとか成功させようとして、相手企業の評価を誤り、本来の価値よりも高額な対価を支払うことが見受けられます。
交渉では、弁護士を代理人とすることで、有利に進める可能性が高くなります。
③買収後の問題
買収後は、異なる企業文化による摩擦、現地の情報不足による管理不全など、問題は多岐にわたります。
特に、海外進出の場合、できれば、現地の情報は入手しておくことが望ましいでしょう。