どんなに優れた製品やサービスであっても、顧客がその価値を認めなかったり、正しく理解してもらえなければ、購買にはいたりません。
そのため、自社製品・サービスの魅力や競合他社との違いを明確にする活動が重要となり、これをポジショニングといいます。
ポジショニングの例
1979年にソニーが発売した「ウォークマン」は、世界中で爆発的にヒットしました。
しかし、開発前は、録音機能のないテープレコーダーが売れることに否定的な意見が多かったそうです。
ソニーの成功は、単に「録音できないが、小さいテープレコーダー」というポジショニングではなく、「歩きながら音楽が聴ける」という新たな価値を打ち出すポジションにあると言われています。
ポジショニングの検討方法
ポジショニングは、KBF(Key Buying Factor:購買決定要因)を意識しながら、自社製品・サービスの特徴を検討します。
KBFは、顧客が多数の製品・サービスの中から最終的にある製品・サービスを選択するときに決定打となる要因をいいます。
ポジショニングの検討では、戦略的に有効と考える2つの特徴を絞り込んで、アピールする手法がよくとられます。
例えば、自動車の場合、高級感、価格が安い、デザインが良い、室内が広い、安全性が高い、スピードが早い、荷物がたくさんつめる、・・・などいくつもあげられます。
しかし、1人の顧客が特定の製品・サービスについて強く認識する特徴は、2つまでと言われています。それ以上だと、総花的になってしまい、「本当は何がいいのかよくわからない」となってしまいます。
したがって、訴求したい要素を絞り込む必要があります。
ポジショニングの参考
上記のとおり、ポジショニングは、自社の製品・サービスの特徴を絞り込むのが重要です。
以下では、ポジショニングを検討する際の参考を紹介します。
①機能面にこだわりすぎない
ただし、あまり製品特性にこだわりすぎる必要はありません。
製品やシービスに付随可能なイメージでも構いません。
例えば、コーヒーについて、考えると、製品特性としては「コクがある」「香りが良い」「目が覚める」などがあります。
しかし、これらは明確な差別化が難しく、訴求力が弱いといえます。
缶コーヒーのジョージアは、一時期、男性社員をターゲットとして、「やすらぎ」というポジショニングを取ることで、顧客の「癒やしを求める心」を捉え、売上を伸ばしました。
②競合との差別化
いくら顧客ニーズを満たしていても、競合他社と同じポジショニングをとっていたら、自社製品を選択してくれないかもしれません。
そのため、競合他社がとっていない、独自のポジショニングを探すことも重要です。
③カニバライゼーションを避ける
同じカテゴリーに復数の製品を出している場合、自社製品間で顧客の奪い合いが起きてしまいます。このような状況をカニバライゼーションといいます。
ポジショニングでは、競合製品に対する優位性を訴えることが大切であり、自社製品同士のカニバライゼーションは避けるべきです。