Webサイトを製作し、発注者に納入したのですが、営業時間外のメンテナンス作業を求められました。
この対応について発注者に費用を請求したところ、「これくらいはサービスとしてやってほしい」と言われてしまいました。
緊急の対応があることはわかりますが、人件費を投じているので、きちんと費用を請求できるようにしたいです。
この問題について、弁護士がお答えします。
まずは営業時間内に作業を行うことが基本
Webサイトは常に不特定又は多数の方に閲覧されているため、不具合の発生も突然発覚するでしょう。その対応は時間を選びません。
もっとも、受注者側にも営業時間が決まっていることでしょう。時間外の対応をすることは、従業員に対して時間外手当を支払わなければならないということです。
そのため、契約書には、受注者の営業時間内での対応が原則となることを契約書に明示することが必要です。
具体的には、対応曜日、対応時間を具体的に契約書に記載しておきます。
時間外の対応をする場合の規定をおく
一方で、営業時間外だと一切対応しない、というわけにもいかないでしょう。そこで、時間外の対応が生じる場合の費用を設定します。
ここで、注意が必要なのは、対応しなければならない内容が、受注者の責任によって生じた作業であった場合です。
この場合、受注者の債務の履行が不完全だったことにより生じる作業ですので、発注者に費用を請求することはできません。
そのため、時間外による作業内容も具体的に定めておくべきです。
例えば、「●●に関するメンテナンス作業については・・・」といった記載をしておくのが効果的です。
また、金額の設定について、定額の金額を定めにくい場合は、対応時間に応じて費用が発生するタイムチャージ制にすることも有用です。
外部の制作会社も関わっている場合はより注意が必要
緊急の対応が必要な場合、自社だけでなく、外部の制作会社のスケジュール調整も必要ですし、その会社がすぐに対応してくれる保証はありません。
そのため、外部制作会社の協力を得る場合は、自社と外部制作会社とのすり合わせ、それを踏まえて自社と発注者とで事前の協議をしておくべきです。
また、時間外の費用設定の際も、外部制作会社との交渉及び費用を含めて発注者と費用を話し合っておくことも必要です。
サイト公開のタイミングは週の早めに設定を
サイトの公開時期を週末にしてしまうと、不測の事態が生じた際に、休日対応を迫られてしまいます。
受注者側としては、何が起きても対応できるよう、週の前半を公開時と交渉することも有用です。
発注者側の意向として、週末の公開にしたいという希望を強く持っている場合は、不測の事態に対する対応については別途料金が発生するものとすれば、交渉もしやすいと思います。