覚書とは、本来は物事を忘れないためにメモに書き残すことをいいますが、ビジネスにおいては契約書に近い意味で用いられています。
正式な契約の前の暫定的な合意内容をまとめた文書や、契約後に契約内容を一部変更するときの文書などに活用されています。
デイライト法律事務所の企業法務部には、多くの企業の方から覚書についてのご相談が寄せられています。
ここでは、覚書に関する様々なテンプレートを整備しております。
これらはすべて無料でダウンロードすることが可能ですので、ぜひご活用ください。
ただし、テンプレートの使用は、企業の方が自社のビジネスにおいて使用する場合、又は、弁護士が使用する場合のみとさせていただきます。
その他の場合、弁護士法違反(弁護士以外の者が営利目的で契約書を作成すると非弁行為となります。)等、法令に抵触する可能性があるため認めておりません。
また、テンプレートはあくまでサンプルです。
覚書に具体的に何を記載すべきかは、個別の事情によって大きく異なります。
そのため、テンプレートはあくまで参考程度とし、企業法務に強い弁護士にご相談なさることをお勧めいたします。
覚書のテンプレート・雛形
この書式は、一般的な「覚書」のテンプレートです。
親契約・原契約として既に契約書が締結されていることを前提にしていますが、もしそうでない場合には実態に応じて修正してご活用ください。
覚書といっても、非常にバリエーションが豊富で、非常に簡易なものがある一方、いわゆる一般条項についてもしっかり漏れなく記載されている覚書も存在します。
このテンプレートでは、最低限必要と思われる反社条項や準拠法、裁判管轄などの一般条項を盛り込みつつ、その他は「第6条(その他の条件)」で拾い上げる工夫をしています。
実際の取引実態によって必要な条項も変動しますので、適宜追加・削除してご活用ください。
契約内容変更の覚書
この書式は、「契約内容の変更覚書」のテンプレートです。
既に締結済みの細かい契約書の記載内容を変更する場合や、料金や期間などの契約条件を変更する場合など、幅広くご活用いただけます。
1条の表の中で、変更前の文面や条件と、変更後の文面や条件をそれぞれ記載して使用してください。
また、2条の適用日は原則として本覚書を締結した日付以降を記載するようにしてください。(いわゆる事後締結を避けるためです。)
準拠法、裁判管轄などの一般条項を明確化のために最低限盛り込みつつ、その他は「第5条(その他の条件)」の通りとしています。
地位承継の覚書
この書式は、「地位承継の覚書」のテンプレートです。
もともと甲と丙の間で締結された契約について、甲の地位を乙へ承継するための覚書です。
第1条で、承継の対象となる契約を明示できるようにしています。対象となる契約書が一つだけであればそれを記載すれば足ります。一方、契約書に既に複数の覚書が紐づいている場合などもあると思いますので、その場合には漏れなく対象となる契約書・覚書を書き出すようにしましょう。
第3条の通り、地位承継に伴って、原契約に基づくあらゆる権利義務は乙に承継されると定めています。もし、一部の債権(例えば、承継日以前に発生している金銭債権など)については引き続き甲丙間で対応する、という場合には実態に合わせて修正が必要です。
これに限らず、実際の取引実態によって必要な条項も変動しますので、適宜追加・削除してご活用ください。
金額変更の覚書
この書式は、「金額変更の覚書」のテンプレートです。
既に締結済みの細かい契約書で定めている代金額やサービス利用料などを変更する為にご利用ください。
2条の適用日では、支払期限を基準としてどのタイミングから変更後の金額が適用されるかを明確化しています。
準拠法、裁判管轄などの一般条項を明確化のために最低限盛り込みつつ、その他は「第5条(その他の条件)」の通りとしています。
契約解除の覚書
この書式は、「契約解除の覚書」のテンプレートです。
すでに締結している原契約を合意解除するために使用します。
合意解除する場合でも、一部の条項を存続させたいケースがありますので、その場合には、2条に対象の条項を記載します。
また、3条のような清算条項を記載することが一般的ですが、実際には解除日以降に未清算の債権債務が残ることもあります。その場合には、残債権債務を具体的に本覚書に明記する必要がありますので注意しましょう。
その他にも、実際の取引によって、合意解除時に決めておくべき事項があれば適宜条項を追加いただいてご活用ください。
支払いの覚書
この書式は、一般的な「支払いの覚書」のテンプレートです。
原契約などがある場合を前提に、具体的な支払いについて合意するための覚書です。
原契約でいわゆる一般条項が合意されていることを前提に、支払の詳細以外については条文をできるだけ省略し、シンプルな内容にしています。
ただし、実際の取引実態によって必要な条項も変動しますので、適宜追加・削除してご活用ください。
賃料変更の覚書
賃貸借契約をすでに締結している前提で、賃料や共益費を合意の上で変更する場合に使用できるテンプレートです。
定期借家契約等を除き、通常の不動産賃貸借契約では賃貸人(大家)側からの一方的な通知で賃料の値上げをすることは原則できず、賃貸人と賃借人との合意が必要になるのが原則です。特にそのような場面で覚書作成が必要になりますので本テンプレートをご活用いただけます。
また、賃貸借契約の場合、賃貸人・賃借人に加えて連帯保証人が存在することも多いので、三者間の覚書として作成しています。連帯保証人がいない場合には該当する箇所を削除してご使用ください。
雇用条件変更の覚書
この書式は、「雇用条件変更の覚書」のテンプレートです。
労働契約法第8条では雇用契約の条件は、会社と従業員との間の合意によって変更できることが定められています。この合意の手段として、覚書を利用いただけます。
第1条に、仮で就業時間や賃金を変更する記載例を載せていますので、これを参考にして実際に変更されたい条件を記載してご利用ください。
ただし、従業員にとって不利益な変更を行う場合には、仮に覚書で合意をする場合でも、「自由な意思」によって従業員が合意したかどうかが問題にあることがあります。
もし賃金の減額など、従業員に不利益な変更を検討する際には、条件を変更するに至った事情やプロセスなどを慎重に検討する必要がありますので、できるだけ弁護士に相談いただいて対応されることをお勧めします。