司法取引のリスク対策

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者


・司法取引とはなにか?

・どのような犯罪が司法取引の対象となるのか?

・司法取引に備えておくべき対策とは?

 

弁護士宮崎晃当事務所には、このような司法取引に関するご相談が寄せられています。

刑事事件は、起訴されてしまうと99.9%が有罪となります。

起訴されないためには、コンプライアンスの徹底が最重要です。

司法取引に関するご相談は、当事務所の刑事弁護チームまでお気軽にお問い合わせください。

 

 

司法取引制度とは

話し合い司法取引とは、被疑者が他人の犯罪に関して捜査協力をすることによって、不起訴処分を獲得したり、執行猶予つき判決を獲得したりすることができる制度です。

これまで、日本には、司法取引はありませんでしたが、刑事訴訟法が改正され、2018年6月にスタートしました。

企業等の組織における犯罪は、関係者の数が多く、証拠資料の収集も困難な場合があります。

この司法取引は、そのような組織犯罪の解明に資することから、日本でも導入されることとなりました。

 

 

 

司法取引の内容

書類のイメージイラスト被疑者等に求められる捜査機関への「協力」の内容は、概要以下のとおりです(刑訴法350条の211号)。

 


◎「他人の犯罪」事実を明らかにする真実の供述をすること

◎ 証拠物を提出すること

◎ 「他人の刑事事件」の証人尋問で真実の供述をすること

 

 

司法制度の対象となる犯罪

司法制度の対象となる犯罪は、法律が定める犯罪(「特定犯罪」と呼ばれる)に限定されています(刑訴法350条の2)。

企業に関係するものとしては以下の犯罪があげられます。

 


◎ 租税法違反の罪

◎ カルテルや談合等の独禁法違反の罪

◎ 金融商品取引法違反の罪その他の財政経済関係犯罪として政令で定めるもの

◎ 犯人蔵匿や証拠隠滅等に関する罪も対象

◎ 不正競争防止法が定める外国公務員贈賄罪を含む汚職の罪

◎ 犯罪収益等収受(マネーロンダリング)に関する罪

◎ 詐欺、恐喝、横領等の財産に関する罪


例えば、ある従業員が会社の租税法違反の事実について捜査機関に協力し、その見返りとして不起訴を獲得する。そして、会社やその経営者は起訴されて処罰される、などの事態が今後は想定されます。

そのため、企業は、リスク対策として、これまで以上にコンプライアンス体制を確立すべきといえます。

 

 

司法取引の問題点

違法か否かの判断が難しい場合がある

弁護士公務員に対する贈賄や横領などは比較的、違法か否かの判断がつきやすいと思われます。

しかし、租税法違反、独禁法違反、その他各種経済法違反については、グレーゾーンの場合も多く、「そもそも違法か適法か」の判断が難しいという問題があります。

例えば、経営陣は違法性の意識がなくても、ある日、司法取引の対象とされてしまう、という可能性もあります。

 

防止方法がわからない

弁護士バッジ犯罪と一口に言っても、刑法に定める犯罪、各種経済法に定める犯罪、条例違反など様々な犯罪があります。

これらの犯罪すべてについて、発生の防止方法を打ち出すことが難しく、対応できないという問題があります。

 

引き込みの危険

解説する弁護士のイメージイラスト司法取引は、被疑者・被告人に不利なものとならないよう、弁護人が同席のもとで行われます(刑事訴訟法第350条の3)。

したがって、捜査機関に協力する側(例えば従業員など)については、弁護士が関与するため、人権保障が図られているといえます。

他方、企業や経営陣については、いわゆる「引き込み」の可能性もあります。

例えば、ある従業員が自分の罪を免れ、あるいは軽減してもらうために、「虚偽供述」を行うリスクです。

虚偽供述を信用した捜査機関から、経営陣が過酷な取り調べを受けたり、無実であるのに刑事裁判で有罪となってしまうというリスクが懸念されます。

 

当事務所の刑事弁護士のサポートのメリット

当事務所の刑事事件チームは、刑事事件に注力する弁護士で構成されており、司法取引や企業のコンプライアンスに精通しています。

 


◎ 企業の相談

企業が置かれた具体的な状況をヒアリングし、生じ得る様々なリスクを分析します。数多くの刑事事件を扱った弁護士だからこそ、経験に基づく的確な助言ができます。

◎ 刑事顧問

当事務所は、多くの企業に対して顧問サポートを提供しています。

顧問弁護士は、刑事事件の相談はもちろん、労働問題、債権回収、取引先とのトラブル、クレーム対応、税務調査や行政指導時の立会等も可能です。

また、コンプライアンスを確立するために、各種規定のチェックや策定もサポートしています。

顧問弁護士については、こちらをごらんください。

◎ 従業員教育・研修

当該企業のビジネスの特徴に応じて、生じ得るリスクは異なります。

当事務所の企業法務部は、顧問先企業からのご依頼を受けて、コンプライアンスを徹底するための従業員様向けの教育や研修を行っています。

◎ 社外取締役

ある程度の規模の会社になると、最近は、弁護士を社外取締役として選任する場合があります。

社外取締役のメリットは外部の専門家を関与させることで、コンプライアンスを徹底して不祥事を防止できることにあります。

当事務所の企業法務部では、社外取締役のご相談も可能です。

◎ 刑事弁護士による専門サポート

ある日突然、捜査の対象となる可能性があります。

刑事事件は起訴されてしまうと99.9%が有罪となるため、起訴されないことが重要です。

そのためには、迅速に刑事弁護を開始しなければなりません。

刑事弁護はスピードが勝負といえます。 当事務所では、顧問先企業の経営陣の方が逮捕された場合、要請を受けて速やかに初回接見に急行するサービスを提供しています。

また、刑事弁護人として選任された場合、不起訴や減刑を目指して尽力します。

 

当事務所には、刑事事件に注力する弁護士で構成された刑事弁護チームがあり、被疑者となってしまった経営陣の方を強力にサポートいたします。

当事務所の刑事弁護について、詳しくはこちらをご覧ください。

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