督促状とは?書き方や届いた場合の対処法も解説|テンプレート付

監修者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

保有資格 / 弁護士・MBA・税理士・エンジェル投資家

督促状とは、金銭の支払いが期日を超えてもなされないときに、これを支払うよう相手方に求めるために送付する書面です。

督促状を送付することは債権回収のための重要な手段ではありますが、その効果や書き方など、効果を高めるために知っておくべきポイントが存在します。

この記事では、督促状の詳しい意味や書き方、支払督促との違いなどについて、弁護士が解説します。

書き方の参考となるテンプレートもご用意していますので、督促状の書き方についてお調べの方は、ぜひ最後までお読みください。

督促状とは

督促状(とくそくじょう)とは、所定の期日までに支払いがなされない場合に、速やかに入金するよう促すための書面です。

「督促」の一般的な意味は、約束や義務などを果たすように催促することですが、「督促状」といったときには、通常は金銭の支払いを求める内容の書面を指します。

督促状は、法律上の根拠を持つ特殊なものではなく、「支払いが滞っているので早く払ってくれ」ということを堅い言葉で表現しただけの、単なる「手紙」にすぎません。

そのため、これを出した、あるいは受け取ったからといって、支払いを強制するような効力はありません。

唯一、法的な効果としては、民法上の「催告」に該当する場合に、消滅時効の完成を6ヶ月間先延ばしにするというものです(時効の完成猶予)。

ただし、督促状(催告)によって時効の完成が猶予されるのは1度きりですので、その間に裁判などの法的手続きを取る必要があります。

催告による時効の完成猶予は、「消滅時効の完成が間近に迫っており、法的手段を取っていたら間に合わない」というような場合の、緊急手段のような位置づけと考えることができます。

したがって、「時効が成立しそうになるたびにとりあえず督促状を出して、完成の猶予を繰り返す」といった手法は取れないということになります。

根拠条文
(催告による時効の完成猶予)
第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

引用元:民法|電子政府の総合窓口

一応、督促状にはこのように時効の完成を1度に限り猶予するという効果があるものの、勝訴判決のように強制執行できるものと比べれば、根本的な法的効力が異なるといえます。

そこで以下では、基本的に「督促状に法的効果はない」と表現していますので、ご了承ください。

 

督促状と支払督促の違い

督促状と似て非なるものとして、「支払督促」があります。

「督促状」も「支払督促」も、いずれも債権回収のための手段であり、字面もかなり似通ってはいますが、その意味合いは大きく異なっているため、違いを十分に理解しておく必要があります。

まず、支払督促は、民事訴訟法に定められた、所定の手続きを指しています。

法的根拠のない単なる「手紙」である督促状とは、位置づけからして異なっているのです。

支払督促を申し立てた場合、相手方から異議が出るかによってその後の流れが変わります。

支払督促に対して相手方が1度も異議を申し立てなかった場合、最終的には民事訴訟を起こして勝訴したのと同じ効力が得られ、強制執行が可能となります。

逆に、支払督促に対して異議が申し立てられると、支払督促はそこで終了となり、手続きは自動的に民事裁判に移行します。

支払督促を利用した場合、相手方から異議が出るか否かによって、その後の流れは大きく2手に分かれるものの、いずれにしても何らかの法的な効果が生じることになるのです。

他方で、単なる手紙である督促状を送付することによっては、当然ながらこのような法的効果が生じることはありません。

督促状と支払督促は、いずれも未払いとなっている債権の支払を求めていくという点では共通しているものの、法的な位置づけや効果の点ではまったくの別物といえるのです。

位置づけ 効果
支払督促 法的な根拠のある手続き
  • 異議が出なければ勝訴したのと同等の効果
  • 異議が出れば民事訴訟に移行
督促状 法的根拠のない手紙
  • 相手方に自主的な支払いを促すもので法的効果はなし(1度だけ時効の完成を猶予)

支払督促について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

督促状と催告書の違い

督促状と催告書は言葉が似ており、法律上の厳密な違いはありません。

一般的には、督促状を初期段階で複数回送付します。

これに対して、催告書は、法的手段を取る最終通告として「内容証明郵便」で送付することが多いです。

 

 

督促状を送るケースの例

それでは、督促状を送るのはどのような場合なのでしょうか?

主には、以下のようなケースの際に督促状を送ります。

  • 一度請求書を出しているのに、なかなか支払いをしてもらえない
  • 約束した期限に振り込みが確認できない
  • 電話で連絡をしても、電話に出ない・つながらない
  • 何度も約束した期限を守ってもらえない

このようなケースでは、いずれも本来約束している期限に支払いをしてもらえていない状況です。

そのような状況でも、電話で事前に振り込みが数日遅れることを伝えられているケースであれば、わざわざ督促状を送る必要まではないでしょう。

しかしながら、事前連絡がなかったり、電話をこちらからしても電話に出てくれなかったり、約束した期限から時間が経っても支払いがなかったりした場合には、相手にきちんと支払いをしてもらわなければならないことを明確に伝えるためにも督促状を送付したほうがよいでしょう

支払いを単に忘れてしまっているだけで、督促状を送ることで相手が思い出してすぐに支払ってくれるケースも中にはあります。

 

 

督促の流れ

督促の流れ

督促の基本的な流れについては以下のとおりです。

※具体的な状況によっては異なる場合があります。

 

未入金の確認

まず、期限までに支払いがなかったのかを確認します。

 

電話、メールや請求書で催促

所定の期日までに支配がなされない場合でも、通常はいきなり督促状を出すようなことはしません。

支払義務者の方が悪気がなく、単に忘れているだけかもしれないからです。

そのため電話、メールや請求書等で入金がないことを伝えて、様子を見るとよいでしょう。

インターネットでのショッピングやサブスクなどでは、決済時のメールが請求書に代わるものになります。

 

督促状を送る

支払義務者が意図的に期限までに支払わないような場合、書面で督促状を送ります

相手が支払ってくれない場合、複数回にわたって督促状を送付することもあります。

 

催告書を送る

督促状を送付しても、相手が支払ってくれない場合、催告書を送ることを検討しましょう。

催告書を送っても相手の支払いが期待できない場合、次の訴訟提起に進むこともあります。

催告書を送る場合、その方法についても検討します。

催告書を送る方法としては、普通郵便にするか、それとも内容証明郵便を活用するかがポイントとなります。

内容証明郵便のメリットとしては、相手に強い心理的プレッシャーを与え、任意の支払いを期待できるという点にあります。

他方で、コスト※が若干かかってしまうのがデメリットです。

※枚数等の状況にもよりますが、1000円程度のことがおおいです。

参考:内容証明|郵便局

なお、内相証明郵便を出すとき、弁護士は配達証明をつけることが多いです。

配達証明をつけると、支払義務者にいつ書類が届いたかを証明する葉書がつきます

 

訴訟提起の検討

督促状や催告書を出しても、支払義務者が任意に支払ってくれない場合、裁判を起こすか否かを検討することになります。

通常、裁判は弁護士に依頼されます。

そのため、未払の額がある程度高くないと、費用倒れになってしまうリスクがあります。

訴訟提起以外にも、支払督促、民事調停などの方法もあります。

具体的な状況によってとるべき最善の方法が異なるため、債権回収に強い弁護士に相談なさるとよいでしょう。

 

 

督促状のテンプレート

督促状を作成しようとする場合、見本なしで一から書きはじめるのは大変かと思われますので、督促状のテンプレートをご用意しました。

督促状
(◯◯代金お支払いのお願い)

日時:〇年〇月〇日

〒○○○○○○
○○○○様

〒○○○○○○
株式会社○○

拝啓

時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

平素より当社をご利用していただきまして誠にありがとうございます。

さて、下記売買契約に関しまして、本状作成時点において、代金のお支払いが確認できておりません。

つきましては、当社までご持参いただくか、下記口座に振り込む方法により至急お支払いくださいますよう、お願い申し上げます。

なお、本状と行き違いにお支払いいただいた場合には、何卒ご容赦ください。

敬具

(ご契約内容)

  • 契約日 年 月 日
  • 対象商品 ○○○○
  • 売買代金 ○○円

(お振り込み先口座)

  • 金融機関名 ○○銀行○○支店
  • 種類 普通
  • 口座番号 ○○○○
  • 名義人 ○○◯◯

 

(お問い合せ窓口)

株式会社○○

電話番号 ○○○○

受付時間 ◯時〜◯時(土日・祝祭日を除く。)

一口に督促状といっても、状況に応じた適切な文面となるよう工夫する必要があります。

下記のページには、シチュエーションごとに複数のパターンをご用意しており、無料でダウンロードも可能です。ぜひ、参考としていただければと思います。

 

 

督促状の書き方

督促状督促状は手紙の一種ですので、決まった書き方があるわけではありません。

そもそも法的な効力を生じさせるものではないため、書き方が不適切だからといって無効になるということもありません。

しかしあまりにも記載が不十分で内容が正しく伝わらなければ、「手紙としてすら機能しない」ことになってしまいます。

また、文体や表現などの微妙なニュアンスによって相手の受ける印象も変わってくるため、督促の効果だけでなく、相手方との関係性に対する配慮といったことも大切になってきます。

ビジネス文書としての体裁を整えるという意味では、督促状にも望ましい書き方があるといえるのです。

以下では、督促状の標準的な記載項目に沿って、簡単に書き方をご紹介します。

前記のテンプレートなどを参照しながら、ご確認いただければと思います。

 

標題(件名)

文書の標題は、その文書の内容や性質がどのようなものであるかを端的に表記します。

単なる「ご連絡」などの標題でも、本文を読めば一応意味が伝わるかもしれませんが、一見して何の書面か分かるような標題とする方が、より適切といえるでしょう。

督促状であれば、単純に「督促状」とするか、より具体的に、「〇〇の代金に関する支払いのお願い」のような記載とすることも考えられます(上のテンプレート参照)。

感覚の話になりますが、「支払いのお願い」よりも「督促状」の方がより強く迫るような印象もありますので、まずは「支払いのお願い」で様子を見て、反応がなければ再度「督促状」を送付するといった具合に使い分けてもよいでしょう。

 

日付

日付は、督促状の作成日または発送日とします。

相手方の受領日ではありませんので、送付にかかる日数を計算して数日先の日付を記載する、といったことは必要ありません。

 

社名

社名の欄には、自社及び相手方の名称を記載します。

一般的なビジネスマナーとして、先方の名称がより上になるよう配置するのが通常です。

 

本文

本文は、支払いが滞っている旨を指摘し、入金を求める内容とします。

穏当な文面とするか、ある程度厳しい表現で強めに支払いを求めていくかは、相手方との関係性や、支払われる期待がどの程度あるかといった事情を考慮しながら検討します。

長年の取引先や、今後も取引関係が継続していくと考えられる相手先で、一時的に支払いが滞っているだけと見られるような場合であれば、良好な関係を維持することも重要ですので、上のテンプレートのように、できるだけ高圧的な表現を避けるように注意します。

この場合は、法的措置を匂わせるようなことも控えたほうが無難と思われます。

逆に、相手方との関係性がそこまで重要でない場合や、これを考慮してもなお債権を回収する必要性が高い場合などは、ニュアンスに対する配慮よりも、支払いを求める意思が強いことを強調するべきです。

特に、すでに督促状を送付しておりこれが無視されているような状況であれば、法的手段へと移行する可能性を示唆してプレッシャーをかけることも重要です。

ただし、あくまでビジネス文書ですので、最低限の礼節は欠かないように注意し、また、感情的な表現とならないよう留意する必要はあるでしょう。

 

債権の金額及び債権を特定する事項

督促状では、支払いを求める金額はもちろん、債権を特定するための事項(債権の発生原因となった契約等)を明記することが重要です。

相手方との取引きが単発であれば、金額だけで話が通じることもあるでしょうが、継続的な取引関係にある相手方の場合、単に「100万円の支払いを求めます」としか書かなければ、「どの100万円のことを言っているのだろう」ということになりかねません。

したがって、督促状には、債権の金額だけでなく、債権の発生原因を記載して、債権を特定できるようにする必要があります。

具体的には、「○年○月○日付の売買契約に基づく売買代金として、下記のとおり支払いを求めます」のような記載で債権を特定することが考えられます。

 

支払に関する事項

支払方法(振込先金融機関・口座番号等)や、支払期限などの支払いに関係する事項の記載も重要です。

督促状にこれらの事項が記載してあれば、相手方としても入金の事務に着手しやすくなりますので、速やかな支払いを受けられる可能性の向上が期待できます。

 

問い合わせ先

問い合わせ先には、自社の担当部署及び担当者氏名、連絡先電話番号などを記載します。

督促状は送って終わりではなく、最終的に支払いを受けられるまでに交渉や事務連絡を要することもありますので、担当の連絡先を記載しておくとよいでしょう。

 

 

督促状を作成する場合の4つのポイント

督促状を作成する場合の4つのポイント

状況に応じた督促状を作成する

督促状は、基本的に支払いが遅れている場合に入金を求める目的で作成されます。

しかし、入金が遅れているといっても事情はさまざまであり、相手方との関係性や金額の大きさ、遅延の期間など、詳細な状況はケースごとに異なります。

督促状である以上、最低限金銭の支払いを求める意思を表明する必要はありますが、具体的にどのような文面とするかは、事案を考慮してケースバイケースで微調整しなければなりません。

あまりにもテンプレートにこだわって定型文を使いまわそうとすると、事案にそぐわない不自然なものとなるおそれもあります。

テンプレートはあくまでひとつの見本にすぎませんので、参考程度にとどめて、事案に即した適切なものを作成するように心がけましょう。

 

企業は債権回収に強い弁護士に作成を依頼する

督促状を出す場合、弁護士に作成を依頼するのもおすすめです。

督促状は法的な効果のない手紙ですので、テンプレートなどを参考にすれば、専門的な知識がなくても作成できないことはありません。

しかし書面としての完成度からいえば、やはり日常的に法律文書を作成している弁護士は「本職」といえます。

特に、債権回収に強みを持つ弁護士であれば、督促状の作成は得意分野のひとつといえるでしょう。

弁護士が督促状を作成する場合、それぞれの企業の状況を分析した上で最適なものとなるように仕上げますので、少しでも債権回収の効果を高めるためには、債権回収に強い弁護士に作成を依頼するのがよいでしょう。

 

相手が無視した場合は弁護士名で督促状を出してもらう

繰り返しお伝えしてきたとおり、督促状は法的効果のない手紙ですので、そのことを知っている相手方であれば、対応せずに無視されるということもあり得ます。

そのような場合は、債権回収を弁護士に依頼して、弁護士名で督促状を出すことも検討すべきです。

単なる書面の作成だけでなく、債権回収業務を弁護士に依頼すれば、弁護士は請求者の「代理人」として、自らの名で督促状を発することができます。

あくまで督促状ですので、弁護士が出したからといって、何らかの法的な効果が発生するわけではありません。

しかし、法律の専門家である弁護士が作成した書面というのは非常に重みのあるものであり、実際、「弁護士から通知が来た」ということで慌てて入金されるという事例も少なくありません。

督促状を無視されると、次の対応としては支払督促や訴訟のような法的手段が視野に入ってきますので、その意味でも、督促状を発する段階から弁護士に依頼することは理にかなっているといえるのです。

 

消滅時効を意識し、法的手段へ移行する

督促状によって時効の完成を猶予した場合、それから6ヶ月以内に訴訟などの法的手段をとる必要があります。

消滅時効まで時間があるうちは、督促を繰り返すことで自発的な支払いを求めるというやり方も考えられます。

しかし時効の完成猶予という効果に関しては1度きりなので、いつまでたっても支払いがされないようであれば、回収をあきらめるか民事訴訟などの法的措置をとるかという2択を迫られることになります。

督促状の送付による債権回収は、強制力の面だけでなく、時期的にも限界があるということです。

訴訟などの法的手段に移行する場合は、基本的に弁護士に依頼することになると思われます。

もし債権回収の業務が日常的に生じるようであれば、単発の依頼ではなく、弁護士と顧問契約を結ぶことを検討してもよいでしょう。

法的な問題が起こってから弁護士を探すとなると、信頼できそうな弁護士を見つけるまでに時間を要したり、会社の事業内容を説明するところから始めたりといったことで、対応に遅れが出るおそれもあります。

弁護士と顧問契約を締結しておくことにより、債権回収の際に迅速なサポートを受けられるのはもちろんのこと、それ以外の法律問題についても気軽に相談できます。

企業が事業活動をする上で法的なトラブルはつきものですので、信頼できる弁護士と顧問契約を結んでおくことは、安心して事業活動に専念できるという観点からも、非常におすすめです。

顧問弁護士の必要性について、さらに詳しい解説はこちらでご確認ください。

 

 

督促状を受け取った場合の対応

督促状を受け取った場合の対応

それでは、督促状を受け取った場合にはどうすればよいでしょうか?

 

支払いをしなければならないものかを確認する

督促状を受け取った場合には、まずその請求に覚えがあるかどうか、つまり、支払いをしなければならないものなのかどうかを確認しましょう。

特に、メールやショットメッセージ、SNSでは、不当な架空請求なども多く存在します

そのため、本当に取引を行っており、支払いをしなければならないものなのかどうかを確認するようにしましょう。

 

支払い義務があるものであればできるだけ早く支払いをする

確認した結果、支払いをしなければならないものであれば、相手を待たせていることになります。

そのため、できるだけ早く支払いをすることが必要です。

一度きりの取引相手だとそこまで影響はないかもしれませんが、継続的に取引を行っている相手であれば、信頼関係が悪化すれば今後の取引にも悪影響が生じてしまいます。

 

支払いについて相手に連絡をする

もし、支払いを忘れてしまっていた場合でも、督促状が届いたら、相手に連絡をして、いつ支払うかどうかについて連絡をしたほうがよいでしょう

また、仮に支払いがすぐにできない場合には、いつころに支払いができそうかなども含めて、相手にきちんと連絡をしておくのが望ましいでしょう。

その上で資金繰りの問題があって全額の支払いが難しい場合には、相手と支払いについて相談をしなければなりません。

(※ 個人の借金などの場合には、必ずしもこの部分は当てはまらないことがありますので、早めに弁護士に相談することをオススメします。)

 

弁護士に相談する

督促状が届いた支払いについて、すぐに支払えない場合には、弁護士に相談することも検討すべきでしょう。

なぜなら、督促状が届いたにも関わらず支払いができていない場合には、支払督促や裁判などのさらなる法的措置を相手が取ってくることもあり得ます

そのような場合に備えて、早めに弁護士に相談して対応方法について、専門家からのアドバイスを受けるようにしましょう。

 

 

督促状についてのQ&A

督促状を無視したらどうなりますか?

督促状に法的な効果はないため、これを無視しても、そのこと自体で直ちに法律上の問題が生じることはありません。

ただし、督促状が無視されると、債権者としてはより強力な手段に訴えてくることが想定されますので、放置することはおすすめできません。

債権者に連絡をして話し合いの場を持つか、弁護士に相談するなどして、何らかの対応を取るようにしましょう。

また、送られてきたのが裁判所からの「支払督促」である場合、これを無視し続けると最終的には強制執行される可能性があります。

督促状と名前は似ていますが全くの別物ですので、混同することのないよう十分注意してください。

 

相手が督促状を無視したらどうすればいいですか?

督促状を送付しても無視される場合、弁護士に相談することをおすすめします。

上記のとおり、弁護士名で督促することは相手にとってプレッシャーになりますので、それだけで自発的な支払いにつながることもあります。

ただし、債権回収ではスピード感も大切ですので、法的効果のない督促状を何度も出すことに時間を費やすよりも、速やかに法的手続きへと移った方がよい場合もあります。

督促状が無視された場合、債権の回収が難航することも予想されますので、どのような手段が最適かといった状況判断も含めて、弁護士に相談することが望ましいといえるでしょう。

 

督促状は内容証明で送るべき?

督促に応じてもらえる見込みが薄い場合は、内容証明を利用することが望ましいといえます。

内容証明郵便の場合、全く同じ文書を郵便局で保管しますので、いつ、どのような内容の文書を送ったのかということの証拠になります。

内容証明だからといって督促状に法的な効果が生じるわけではありませんが、後日督促状を受け取ったかどうかといった争いを防ぐことができます。

また、内容証明がきたというだけで一種のプレッシャーを感じる人もいますので、そのような点からも、内容証明を利用することは検討に値するといえるでしょう。

 

督促状の封筒は何色がいいですか?

督促の効果を高めるためには、赤などの目立つ色を使用することも考えられます。

督促状の封筒について、特に色の決まりなどがあるわけではありませんが、一般的な茶封筒などを使用した場合、他の郵便物とまぎれてしまって開封されないといった事態が生じるおそれがあります。

このようなことを避けるため、より注意を引くための工夫のひとつとして、派手な色の封筒を使用することを検討してもよいでしょう。

 

 

まとめ

このページでは、督促状について、効力や書き方、督促状を送る上でのポイントなどについて解説してきました。

最後に記事の要点を整理すると、以下のようになります。

  • 督促状とは、金銭の支払いが期日を超えてもなされないときに、支払いを求めて送付する書面である。
  • 民事訴訟法に根拠のある支払督促と異なり、一種の「手紙」である督促状には、支払いを強制するような効力はない(消滅時効の完成を1度に限り猶予する効果のみ)。
  • 督促状は未払い金の支払いを求める書面であるが、滞納の状況はケースによって様々であるので、事案に応じた適切な督促状を作成する必要がある。
  • 督促状による債権回収は効力の点で限界があるため、督促状の作成段階から、法的対応も見据えて弁護士に依頼することが有効である。

 

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