コミュニケーション戦略(Promotion)
購買プロセス
顧客はいきなり自社製品を買ってくれることはありません。
通常、認知、理解、愛好、選好、確信、購買という6段階のプロセスをとおります。
そのため、企業とって、顧客が現在どの段階にあるかを知り、どのようなコミュニケーション方法で購買に近づけていくかが重要です。
顧客の態度に応じたコミュニケーション目標をまとめると下表のとおりとなります。
顧客の態度 | 顧客の把握 | コミュニケーション目標 |
注意 Attention | 知らない | 認識度向上 |
認知しているが想起できない | 再生知名度アップ | |
興味 Interest | 興味がない | 商品に対する評価育成 |
欲求 Desire | ほしいと思っていない | ニーズ喚起 |
行動 Action | 迷っている | 購入意欲喚起 |
上記の態度変容プロセスをAIDAモデルと言います。
コミュニケーション手段
コミュニケーション手段は、広告、セールス・プロモーション、人的販売、パブリシティ、口コミに大別されます。
広告
広告戦略は、メディア(媒体)戦略とクリエイティブ(表現)戦略に大別されます。
メディア戦略の役割は、「伝える場の確保」であり、クリエイティブ戦略の役割は
「伝えるべきメッセージづくり」といえます。
メデイア戦略は、ターゲットに合わせて、様々な長所・短所を持つメデイア(下表)を組み合わせて(メデイア・ミックス)、予算内で最大限の費用対効果を得ることを目標とします。
メリット | デメリット | |
テレビ | ・視覚や聴覚に訴求可能
・視聴者が多く、注目度が高い。 |
・コストが高い。
・情報量に制限
|
ラジオ | ・地域、人口動態、ライフサイクルによるセグメントが可能。 | ・聴取者が少ない。
・視覚に訴求できない。 |
雑誌 | ・人口動態、ライフサイクルによるセグメントが可能。
・回読率が高い。 ・媒体価値も長く維持できる。 |
・出稿までにタイムラグがある。
・掲載ページの指定が難しい。 |
新聞 | ・地域によるセグメントが可能。
・信頼性が高い。 ・タイムリーな出稿が可能。 |
・1日で媒体価値を失う。
・回読率が低い。 |
屋外広告 | ・地域によるセグメントが可能。
・大きなスペースが利用できる。 ・再接触率が高い。 |
・タイムリーな内容変更は不可。 |
インターネット | ・関心領域や行動履歴によるセグメントが可能。
・コストが安い。 ・効果測定が可能。 ・表現の自由度が高い。 ・1対1、1対多の伝達が可能。 |
・情報過多で埋没するおそれあり。 |
セールス・プロモーション
セールス・プロモーションには、流通チャネル向けと消費者向けのものがあります。
流通チャネル向け
報奨金や報奨旅行、リベートなどを用いて流通に働きかけ、流通側が顧客にプッシュすることを狙います。
消費者向け
製品を試用させたり、値引きや記念品などのおまけをつけることで購入を促す活動です。
人的販売
営業による販売活動のことです。
近年は、販売機能だけでなく、市場の反応を迅速にフィードバックする双方向の情報交換などをおこなう企業も増えています。
パブリシティ
企業がメディアに発信した情報をニュースとして報道してもらうことです。
公的な印象を受けるため、信用度の高い情報として受け取られる傾向があります。
口コミ
近年ではネットを利用して、オピニオン・リーダーを刺激する新手法がとられています。
プッシュ戦略とプル戦略
コミュニケーション戦略の考え方の一つに、プッシュ戦略とプル戦略があります。
プッシュ戦略
プッシュ戦略とは、上から下に働きかける戦略です。例えば、メーカーが卸売業者に対して販売方法の指導、製品説明などを行い、それを受けた卸売業者が小売業者に、小売業者が消費者に働きかけて、購買を促します。
プル戦略
プル戦略とは、広告やパブリシティなどを利用して、メーカーが直接顧客に働きかけて、購買意欲を刺激し、指名買いをさせることを狙う戦略です。