フェイスブック、ツイッター、LINEなどの各種SNSは、今や企業にとって重要な広告媒体となっています。
例えば、明治のお菓子、カールが東日本で販売中止になったのは、SNSを活用した広告が弱く、若者の認知が少なくなったとも言われています。
企業にとって、SNS等を利用したソーシャルメディア戦略は今後さらに重要度を増していくでしょう。
そこでここでは、ソーシャルメディア戦略について、マーケティングの観点に加え、法的問題点について、弁護士が解説します。
ソーシャルメディア戦略のプロセス
ソーシャルメディア戦略は、闇雲に立てるべきでありません。
多くの企業では、競合等がSNSを活用している状況に焦り、自社も取り入れようとやっきになっています。
しかし、目的やプロセスを踏まずにSNSを活用すると、ほとんどは失敗に終わります。
ソーシャルメディア上の失敗は、単に広告効果がないだけではなく、最悪、企業のブランドイメージを失墜させたり、社会的信用を失いかねません。
戦略プロセスとしては、以下の4つを踏まえるといいでしょう。
①顧客分析
自社の顧客は、どのようなテクノロジーをどの程度利用する傾向があるのかを分析します。
例えば以下のグループに分けます。
積極活用者
ブログを書いたり、ウェブサイトに記事を投稿したり、YouTubeなどにビデオ等を投稿する顧客がいるか、またどの程度(何%)存在するか。
加入者
マイスペースなどのSNSに加入し、プロフィールを更新する人々。
観察者
他社のコンテンツ(ブログ、フォーラム、レビュー等)を利用する人々がいるか、またどの程度(何%)存在するか。通常は最大のグループとなる傾向。
不参加者
上記のいずれにも参加しない人々。
現在の顧客の行動をもとに、顧客が参加する可能性のある活動を見極めるのが重要です。
このステップを踏まずに当てずっぽうの推測をしたら、読みが外れ、失敗する可能性があります。
②目的
ゴールは何か?を検討します。
すなわち、マーケティング目的なのか、売上を伸ばすために顧客を活気づけたいのか、チームワークを強化するためにSNSのテクノロジーを自社に導入したいのか、などです。
ソーシャルメディア戦略の目的は、大別すると5つあると言われています。
傾聴戦略(耳を傾ける)
リサーチや顧客理解を深める。
会話戦略(話をする)
自社のメッセージを広める。
活性化戦略(活気づける)
熱心な顧客を見つけ、彼らの影響力を最大化する。
支援戦略(サポートする)
ツールを用意し、顧客同士が助け合えるようにする。
統合戦略(まとめる)
顧客をビジネスプロセスに統合する。
③戦略
自社と顧客との関係をどう変えたいのか?
顧客にメッセージを広めてもらいたいのか、それとも顧客と親密な関係を深めたいのかを明らかにします。
④テクノロジー
上記のステップを踏まえた上で、どのようなアプリケーション(ブロブ、ウィキペディア、SNS、ホーム・ページ等)を構築すべきか、を検討します。
法的対応
ソーシャルメディア戦略が成功し、目的を達成できたとしても、法的なトラブルの可能性は残ります。
まず、名誉毀損、著作権侵害等の第三者とのトラブルが考えられます。
例えば、自社が運営するコミュニティサイトにおいて、利用者が他の利用者を誹謗中傷するようなコメントを投稿した場合、被害者が弁護士に依頼して、加害者の個人情報の開示を求めることがあります。これは被害者が加害者の氏名等の個人情報を入手して損害賠償を請求するために行われるのが典型です。
逆に、自社の情報が他社のウェブサイト等において、炎上している場合、他社に対して削除請求を行ったり、損害賠償請求を行うこともあります。
また、自社が運営するホーム・ページが景品表示法に違反しているような場合、行政指導を受けたり、場合によっては課徴金の納付を命ぜられることもあります。
このように、ソーシャルメディア戦略は極めて重要ですが、情報の発信力がすさまじいために法的対応が必要となる場面が多々あります。
デイライト法律事務所の企業法務チームは、企業のソーシャルメディア戦略をサポートするために、経営上の観点を踏まえて、法的サポートを行っています。
SNS等のソーシャルメディア支援については当事務所までお気軽にご相談ください。