トラックドライバーは、運転席に長時間座り続けることになるため、多くのドライバーが腰痛を抱えています。したがって、運転業務が原因で腰痛が悪化し、業務に従事することが難しくなるケースもあります。
そういった場合に労災保険による補償は受けられるのでしょうか。トラック運送業に特化して活動している弁護士が解説いたします。
労災が使用できる場合
労災保険の対象となる疾病は、労働基準法施行規則35条に基づく別表1の2に列挙されています。その中で、「重量物を取り扱う業務、腰部に過度の負担を与える不自然な作業姿勢により行う業務その他腰部に過度の負担のかかる業務による腰痛」が挙げられています。
トラックドライバーの腰痛は、これに該当することになりますので、労災保険の対象となりえます。
しかし、トラックドライバーの腰痛の全てにおいて労災保険が使用できるわけではありません。
労災保険を使用できるのは、業務災害といえる場合です。業務災害といえるためには、業務を原因として疾患を発症することが必要となります。トラックドライバーの腰痛について労災保険を使用するのであれば、運転業務が原因で腰痛となったことが必要となります。
厚生労働省においては、約3カ月以上、長距離運転手として稼働して、筋肉などの疲労により腰痛を発症した場合には、労災保険の対象となるとされています。
ただし、トラックドライバー業務に従事する前に、すでに腰椎椎間板ヘルニアなど持病を持たれている場合には、業務と腰痛の関係性に疑いが生じるため、労災保険の対象とならない場合もあります。
補償の範囲
労災保険での補償は、腰痛の治療のための治療費や、腰痛で業務に従事することができなくなった場合には、休業損害の支給を受けることができます。
また、一定期間治療を継続しても改善がみられず、障害が残存した場合には、障害補償給付を受けることができる場合もあります。
トラック業界においては、腰痛に限らず、交通事故などで労災を使用する場合が多々あるかと思います。
労災の使用についてや、補償の内容・手続きなどについて、お困りのことがありましたら、お気軽に弊所までご相談ください。