教育業を営む企業へのメッセージ
私たちは誰一人として教育と無関係な人はいません。
全ての人が小学校・中学校という義務教育を受け、その後高校、大学、専門学校、などに通います。また、塾や予備校に通う人もいるでしょうし、各種習い事をする人もいるでしょう。
その教育の中で、個人は人格を形成させ、知恵を得ていきます。その個人が、日本、ひいては世界を動かす原動力になっていきます。
したがって、教育は、個人の成長のために、また社会の発展のために必要不可欠なものです。そうすると、よりよい教育環境を作っていくことが、個人の成長、社会の発展のために求められているといえます。
もっとも、学校の中には、生徒と教員の他にも、事務・職員、非常勤の講師、学校の経営者、保護者など様々な立場の人たちが構成員として存在しており、複雑に絡み合って運営されていきます。
したがって、それぞれの関係を良好に維持していくことが健全な発展に繋がりますが、逆に言えば、これら一つの関係がこじれれば、多くの構成員に波及し、大きな問題を引き起こす可能性をはらんでいます。
しかし、日本における教育の分野では、問題が起こったら法律の専門家に相談するという発想がなく、問題を内部だけで解決しようとして、大問題に発展してから初めて法律の専門家を頼るということになりがちです。
ある問題が起こったら、問題が小さいうちに解決しておくことが必要です。また、問題が起こらないよう予防策を張っておくことも必要です。
デイライト法律事務所の企業法務チームは、法律家としての立場からより良い教育環境を作り、社会の発展に寄与したいという想いから、弁護士が教育分野に特化する取り組みを行っています。
教育分野に関する各種法律相談、トラブルの解決は、私たちにおまかせください。
教育分野特有の問題
教育分野では様々な立場の人の利害が絡み合うことは先に述べた通りです。
このことは、それぞれの教育機関の規模の大小を問わないものです。
例えば、
・生徒と教員の関係における問題
・生徒どうしの関係における問題
・親と教員との関係おける問題
・経営者と教員との関係おける問題
・経営者自身の経営の問題
などが考えられます。
それぞれの問題について、それぞれ異なる法分野が関わってきますし、教育分野ならではの問題があるため、問題解決のためには教育分野における法知識に精通し、ノウハウを有した弁護士が解決に当たる必要があります。
学校としては、大きな問題にしたくないという考えから、起こってしまった問題に対して内部で解決を図ろうとしますが、かえって取り返しのつかない大きな問題に発展しがちです。
以下のような問題には早期に法律の専門家である弁護士に相談すべきです。
【いじめ・ハラスメント・モンスターペアレント問題】
いじめの問題は、残念ながらどの教育現場においても必ず存在し、完全になくすことは困難です。
そこで、いじめの存在を早期に把握し、素早く対応しなければなりません。
しかし、いじめの存在を長期にわたり見逃したり、いじめの存在を把握できたとしてもその対応方法を誤れば、生徒の自殺を招いたり、学校側の責任を問われ高額な賠償を請求されるなどし、学校の評価を低下させ、経営に著しい支障をもたらします。
また、ハラスメント問題も見逃せません。
教職員から生徒に対するセクハラや、教職員間でのセクハラやパワハラなどを放置していれば、学校側の管理責任問題となりえます。
そして、近年取りざたされるモンスターペアレントといわれる親たちの問題は、合理的な理由なく過度な要求をしたり文句をつけるクレーマーの問題と同様です。しかし、単なるクレーマーと違うのは、生徒の親であり、当該生徒の卒業まで関係を続けていかねばならないということです。
不合理なクレームに対しては毅然とした態度で臨みますが、まずは平穏かつ円満な解決が必要になってきます。
これらの問題は、いじめやハラスメントに関する事実関係の調査不足や、経営側が問題調整能力を持っていないということが原因となっています。これらの問題を解決するには、当事者ではなく第三者である法律家が介入して、事実を適切に調査した上で、双方の関係を調整していく必要があります。
【労働問題】
どの企業においても、労働問題は避けて通れませんが、教育分野も例外ではありません。
近年教育分野において特に取りざたされているのは、労働時間の管理の問題です。
たとえば、部活動や、採点業務などによる残業があるでしょう。
労働時間を適切に管理し、残業を可能な限り減らしていき、労働者側からの残業代未払い請求がなされないようにすることが必要です。
また、労働組合と良好な関係を作りつつも、不当な要求に対しては毅然と対応することが肝要です。労働組合との良好な関係構築に気を回しすぎるあまり、経営の実情に即していない高額な賃金支払などが続けば、人件費の増大を招き、経営が破綻しかねません。
このため、労働条件の適正な見直しを定期的に行っていくことが必要です。
【教員の指導能力向上】
教員の指導能力は、その学校の評価に直結する事項です。
また、文部科学省は、全国における指導能力が不足する教員について調査を実施し、指導能力不足の可能性がある教員に対する再教育の必要性を呼びかけています。
したがって、教員の指導能力を向上させることは、学校の経営や運営にとって重要事項です。
具体的には、指導能力改善の施策実施、指導能力不足の解雇、教職員を適正に配置することが必要になってきます。
【経営の問題】
学校にとって財政基盤を確保することが重要であることは言うまでもありません。そのためには、まず学費や校納金の確実な回収が必要です。
学校の経営は、学費や校納金、公的助成金によって支えられています。
教育面を重視することは良いことですが、そのあまりに学費や校納金の滞納を放置しすぎると、学校の経営を続けていくことが困難になります。
また、滞納を放置することは、誠実に支払いを行っている納付者に取って申し訳ないことですし、不満を招くことになりかねません。
学校側からの請求に応じない生徒やその家族がいる場合、弁護士が最終的には法的措置を含めて支払いを求めていき、確実な回収を図っていかなければなりません。
次に、人件費の抑制が必要です。
人件費は、学校に入ってくる収入の70パーセント以内に抑えなければ、教育に対する投資が困難となり、学校が維持・発展することは困難であるといわれています。
したがって、教職員に対する給与・ボーナスを、学校の経営状況に合わせて合理化していかなければなりません。合理的な理由があれば給与・ボーナスをカットすることができます。
もっともその「合理的な理由」があるかどうかはなかなか判断が難しいところですので、弁護士に相談しながら進めていくことがその後の紛争の発生を予防することに繋がります。
教育分野における顧問弁護士のサポート
1 学費・校納金の回収をします
学校をはじめとする教育分野の運営に欠かせない運営資金の調達源である学費・校納金を素早く回収いたします。
学生側は学費や校納金などの費用を支払う法的な義務を負っています。
学校側が教育面を重視するあまり、「かわいそうだ。」という観点から費用支払いの滞納を放置することは、学生間の平等にも反しますし、滞納を許す雰囲気を作り出し、学校の運営基盤を危うくしてしまいます。
顧問弁護士としては、まずは学校側に対して任意に回収を促すためのアドバイスをしていきます。
次の段階では、学校側の代理人として弁護士名での支払の催告をします。交渉の結果、一切支払われない場合には、支払督促や訴訟などの裁判所を通した法的な手続を取っていき、確実に回収をしていきます。
2 労務問題への対応をします
(1)労働条件の整備をします
不当な残業代請求をされないよう、ノー残業デーを作るなど残業をそもそも減らしておくことや、残業時間をきちんと管理しておく体制を作っておくことがまずは必要です。
なぜなら、残業代を請求された場合残業代に関する相手の要求を無視すると、労働基準監督署からの出頭要求書が会社に届くか、または、立ち入り調査によって、全従業員について「残業代の未払い」を命じられる可能性もあります。加えて、労働審判を申し立てられた場合には会社は多大な未払い残業代を支払わされ、大きな損害になりかねません。
したがって、この点について顧問弁護士が勤務時間など諸条件について整備し、残業のありかたについてもアドバイスをしていきます。具体的には、就業規則の策定や見直しをしていくことが考えられます。
仮に労働審判が申し立てられてしまった場合には、労務法規に詳しく、労働審判経験豊富な弁護士が労働審判に出席し、適切に対応します。
(2)指導力不足の教員の解雇をします
能力不足を理由として従業員を解雇しようとする場合には、会社は従業員に労働契約の前提となる能力が不足し、労働契約の目的を果たすことができないこと(労働契約の債務不履行)、あるいは能力不足が著しく、解雇が必要となる程度の支障をきたしていること(客観的に合理的な理由の存在)を立証する必要があります。
そうなってくると、教員が能力不足であることの客観的な証拠を収集しなければなりません。しかし、この証拠については、法的にどう評価されるかという観点から収集しなければ、意味のない資料集めになってしまうため、弁護士がどのような証拠を収集すべきかを指示します。
また、証拠収集のほかにも、教員のパフォーマンス改善のための研修を実施したり、配置転換などによりパフォーマンスを発揮できないかを試したりするなどし、「解雇以外にやるべきことは尽くした」といえるだけのことをしておくことが必要となります。
また、解雇に応じない場合には退職勧奨をするなど、それぞれの場合に応じた対応も必要となってきます。
顧問弁護士は、これら一連の手続についても適切なアドバイスをしていきます。
(3)労働組合への対応をします
労働組合から団体交渉を求められることもあるでしょう。雇用している学校側としては団体交渉に応じる義務があります。
そうした場合には、労務法規に詳しい弁護士が学校側に代わって、あるいは同席して団体交渉にあたります。
3 いじめ・ハラスメント・モンスターペアレント問題への対応をします
これらの問題は、放置すると、傷害・殺人や強制わいせつ、営業妨害など犯罪のレベルまでにエスカレートするおそれがあります。
そうしたことになれば学校側のスキャンダルとして報道され、学校の評価が著しく低下することにもなりかねませんし、一方を加害したということになれば、学校側も監督責任としての賠償を請求されかねません。
これらの問題に対しては、まずは顧問弁護士が当事者の間に入り、第三者的な立場から問題解決への交渉をし、問題行動に対する警告をして止めさせます。
もっとも、一方が完全に悪質ないじめ・ハラスメント・モンスターペアレントによる不当な要求をしていると判断される者に対しては、法的な措置を念頭に置きながら毅然とした態度で対応します。
これらを顧問の弁護士が行うこということになれば、教職員の精神的な負担も大幅に減少するはずです。
4 学校・教育分野の運営に対する助言・指導をします
以上のほか、学校においては、想定外の問題も多く存在しているものと考えられます。
そうしたときに、法的な問題かどうかがすぐには判断つかない場合でも、顧問弁護士がいれば気軽に相談することができます。
学校法務に詳しい弁護士が、これまでの経験を活かし教育分野に関すること全般について、助言・指導をいたします。