顧問弁護士とは、会社の法的な問題や様々なお悩みに対して、継続的に相談を受け、アドバイスやサポートを行う弁護士のことをいいます。
企業はビジネスを行う上で、様々なルール(法)を守らなければなりません。
また、会社が持続的に成長していくためにはこれらの「法」を味方につけ、「法」を駆使していくことが重要なポイントとなります。
顧問弁護士は企業を取り巻くこれらの「法」のプロフェッショナルであり、企業経営に欠かすことのできない存在です。
この記事を最後まで読んでいただくことで、顧問弁護士の具体的な役割や必要性、メリットやデメリット、顧問弁護士の選び方のポイント等を理解していただくことができます。
顧問弁護士をご検討中の方はぜひ参考になさってください。
目次
顧問弁護士とは?
顧問弁護士の定義
顧問弁護士とは、会社の法的な問題や様々なお悩みに対して、継続的に相談を受け、アドバイスやサポートを行う弁護士のことをいいます。
顧問弁護士の特徴
具体的な問題が生じた段階になって相談、依頼する場合(いわゆるスポット契約)と違って、一定の期間、継続的に法的サポートを受けるというのが顧問弁護士の特徴になります。
なお、英語では、general counselやcorporate lawyerなどと呼ばれています。
顧問弁護士とインハウス・ローヤーとの違い
近年、日本企業でもインハウス・ローヤー( in-house lawyer )を見かけるようになりました。
インハウス・ローヤーは、組織内弁護士とも呼ばれ、一般には会社に雇用されている弁護士のことを指します。
インハウス・ローヤーは、通常大企業の法務部に所属し、契約書の作成・チェックや法令調査などを職務内容とすることが多いです。
これに対し、顧問弁護士は会社に雇用されているわけではありません。
継続的に法的サポートを提供するという点では、インハウス・ローヤーと似ていますが、会社の外部からプロフェッショナルとして、会社をサポートするという点で異なります。
スポット、顧問弁護士、インハウスの特徴について、くわしくは後述しています。
顧問弁護士がビジネスにおいて必要な理由
会社を作ったり、ビジネスを始めたりするに当たって、日本の多くの会社、経営者がまず契約する士業は、税理士だと思います。
仕分けをしたり、決算書を作成したりといった、いわゆるお金の部分を税理士事務所と契約して税理士に任せることになります。
立ち上げたばかりの会社、従業員の人数が少ない中小企業のケースでは、「うちにはまだ顧問弁護士は必要ない」「うちのような中小企業では顧問弁護士はいらない」という声をよく耳にします。
しかし、これらの中小企業こそ、顧問弁護士が必要と考えられます。
どのようなビジネスでも、各種の契約や取引が発生しています。
物を売るビジネスであれば、物を仕入れる際に仕入れ業者と契約をしますし、売る際にお客さんと契約をします。
飲食店であれば、お店を借りる際にテナントのオーナーと賃貸借契約を結びますし、来店するお客さんに食事を提供して代金をもらいますが、これも契約に当たります。
お客さんを経営者一人で対応することが難しければ、従業員を雇うことになりますが、これは雇用契約に該当し、やはり契約です。
それでは、契約を結ぶ際の指標になるものは何でしょうか?
それはずばり「法律」です。
つまり、ビジネスをするということは必ず法律に関わることがあるということになります。
法律の専門家は誰かといえば、税理士ではなく「弁護士」なのです。
したがって、企業がビジネスをスムーズに進めていくためには、どのような規模であれ、法律の専門家である弁護士のサポートを受けた方がよいのです。
顧問弁護士の役割や業務内容
顧問弁護士の3つの役割
顧問弁護士の役割は多岐にわたりますが、ここでは大きな3つの役割についてご紹介いたします。
- 法的リスクを回避する
- 会社の経営を強くする
- 緊急時にあなたの会社を守る
法的リスクを回避する
会社が経済活動を行う上で、順守しなければならない法律はとても多いです。
会社が違法な活動を行った場合、被害者から損害賠償を請求されたり、刑事罰を受けるリスクもあります。
企業法務に強い弁護士を法律顧問にすることで、これらのリスクを回避することが期待できます。
会社の経営を強くする
法的なトラブルが発生したとき、これに適切に対処する必要がありますが、その負担は大きいと予想されます。
このようなトラブルに経営者が対応すると、それだけで会社にとっては大きな損失となるでしょう。
顧問弁護士がいれば、法的トラブルの対応を任せることができるので、経営者は経営に専念でき、会社を発展させることができます。
緊急時にあなたの会社を守る
顧問弁護士は、会社の内情に精通しており、他の案件より優先対応を行います。
そのため、会社の緊急時には顧問弁護士が迅速かつ的確に対処します。
このようにして、顧問弁護士はあなたの会社を全力で守ります。
顧問弁護士の業務内容
弁護士は「裁判になったときだけ相談する」と誤解されている経営者の方が多いです。
弁護士は法律全般をサポートできるため、その役割は多岐にわたります。
一例をあげると、以下のような業務を任せることが可能です。
- 労務のサポート
- 契約書のチェック・作成サポート
- 企業がビジネスを行う上で、顧客や取引先との契約が必須になります。
万が一、顧客や取引先とトラブルになった場合、契約の内容をめぐって、争いとなることがあります。
このような事態を未然に防止するために、契約の内容について、法律の専門家と内容を詰めておくことが重要です。
顧問弁護士は、このような契約書についてのチェックや作成について、サポートすることが可能です。
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- 売掛金の回収サポート
- 「顧客や取引先が代金を支払ってくれないため困っている。」
このような売掛金についてのお悩みを抱えた会社はとても多いです。
顧問弁護士は、売掛金のスムーズな回収についての助言を行っています。
また、顧問弁護士は助言だけでなく、回収について依頼を受けると会社の代理人となって、相手に督促状を送付するなどすることも可能です。
それでも相手が支払わない場合、訴訟提起や強制執行を含めた強力な法的措置をとることができます。
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- 景品表示法のサポート
- ビジネスにとって、自社の製品やサービスをアピールすることは重要です。
特に、現在は自社ウェブサイトにより、インターネットを通じて、不特定多数の方々に対し、効果的に訴求することが極めて重要となっています。
しかし、製品の性能を偽装したり、食品の産地を偽装したりするなどして、消費者を誤認させる不当表示が社会問題となっています。
このような不当表示を規制する法律としては、景品表示法、不正競争防止法などの法規制があり、法規制に違反した場合に企業に与える損害は甚大です。
そこで、普段から、不当表示を行わない体制を構築しておくことが大切となります。
これらの不当表示問題に詳しい顧問弁護士がいると、これらの法令違反の回避について、助言してもらうことが可能です。
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- クレーム対応サポート
- カスタマーハラスメントという言葉があるように、顧客の中には、理不尽で悪質なクレームを行う者がいます。
また、近年、ツイッターやフェイスブックや各種口コミサイトといったSNSやインターネットが普及し、誰もが自由に企業を評価することができるようになっています。
そのため、企業にとって、クレームに適切に対応するということの重要性はますます高まっている状況です。
顧問弁護士がいると、クレームに対する初期対応の助言を行うことが可能です。
また、悪質なカスタマーハラスメントに対しては、窓口となるなどして毅然とした対応を取ることも可能です。
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- 企業の海外進出サポート
- 企業の中には、人口減少による日本市場の行末を考え、市場を海外に求めてグローバル化を検討しているところもあるでしょう。
海外進出においては、日本の法令だけでなく、現地国の法令にも精通していなければなりません。
海外の法律事務所と提携している顧問弁護士がいれば、現地法令のアドバイスや拠点構築のサポートもスムーズに可能でしょう。
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- ベンチャー企業サポート
- ベンチャー企業は、優れた技術やアイデアを保有し、社会に対して新しい価値を提供しようとしている企業です。
しかし、いくら優れた技術やアイデアを保有していたとしても、むやみに突き進めば、失敗は免れません。
事実、日本においてスタートアップが成功する確率は、決して高くありません。
ベンチャー企業を成功に導くためには、事業計画だけでなく、最適な資本比率、資金調達、人材確保とマネジメント等についてのサポートが必要となります。
ベンチャー企業に精通した顧問弁護士は、会社法を熟知しているだけでなく、経営やファイナンスについての助言も可能です。
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- 企業統治・ガバナンスのサポート
- 会社が成長・発展していくためには、取締役などの経営チームがまとまっていること、株主との良好な関係が築けていること、などが重要となります。
取締役の選任や解任、違法行為やトラブル発生時の対応、株主総会の効果的な運営などについて、顧問弁護士がいれば、サポートを受けることができます。
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- その他企業法務のサポート
- 上記のサポートは一例です。
企業が経済活動を行っていく上で、様々な法令が関係します。
例えば、個人情報保護法、刑罰法令、不正競争防止法、製造物責任法(PL法)、公益通報保護法など、企業が押さえておくべき重要な法令があります。
これらについて、専門性が高い顧問弁護士がいれば的確に助言し、トラブルに発展することを未然に防止してくれることが期待できます。
顧問弁護士の費用
顧問弁護士の相場
現在、弁護士報酬は自由化されており、各法律事務所が独自に定めています。
したがって、顧問弁護士の費用は法律事務所によって異なります。
しかし、かつては弁護士会が「報酬規程」(旧報酬規程)を定めており、各弁護士はその規程にしたがっていました。
そのため、現在でもその旧報酬規程を踏襲している事務所が多いと思われます。
顧問弁護士の料金について、旧報酬規程は以下のように定めていました。
引用:旧報酬期待参考|弁護士会
このように最低額が5万円となっていました。
現在は自由化されているため、法律事務所によって多少の違いはありますが、概ね月額5万円が基準となっていると考えられます。
顧問弁護士は安いほうがいい?
企業としては、できるだけコストを抑えたいというお考えもあるでしょう。
確かに、無駄な支出は避けるべきです。
しかし、あまりに低額だと「安かろう悪かろう」が気になるところです。
例えば、月額1万円などの顧問料の場合、専門性が乏しい、サービス内容が他と異なる、などの弊害が心配です。
調査によれば、企業法務を主に取り扱っている弁護士の場合、月額顧問料は「5~7万円未満」(43%)が最も多く、月額5万円以上が全体の60%を超えています。
つまり、上で解説した相場よりも高いという結果となっています。
上記データは、調査対象者の数がやや少ないため、統計データとして信頼できるとまでは言えませんが、専門性が高い弁護士の場合、顧問料も高くなる傾向にあるということは言えるかと思われます。
顧問弁護士の5つのメリット
顧問弁護士のビジネスにおける役割や業務内容について解説してきましたが、実際に顧問弁護士がいることのメリットとしてはどのようなものがあるでしょうか?
主なメリットとしては、以下の5つが挙げられます。
- ① 安定的で攻めの経営に専念できる
- ② 被害を最小限に抑えやすい
- ③ 有利な交渉や解決が期待できる
- ④ 気軽に相談できる
- ⑤ リーガルコストを軽減できる
以下、順に詳しくみていきます。
メリット1 安定的で攻めの経営に専念できる
中小企業の場合
中小企業は、大企業と異なり、しっかりとした法務部門がありません。
そのため、常に法的トラブルのリスクを背負っています。
ひとたび法的トラブルが発生すれば、事態は容易には解決せず、経営者や担当者の方が対応に追われ、社内は大混乱に陥ることが懸念されます。
顧問弁護士がいれば、そのような法的トラブルの発生を未然に防げる可能性が高まります。
なぜなら、法的対応を弁護士に任せることで、会社は弁護士の指示を受けて必要書類を整備したり、対応したりすることができるからです。
また、例えば、多角化により、新規ビジネスを始める場合、あらかじめ、想定されるリスクや法的な問題点を顧問弁護士に確認しておくことで、スムーズにビジネスを進めることが容易になります。
このように、顧問弁護士は、会社に本来的な企業活動に専念して収益を挙げてもらい、企業の更なる発展に尽くしていただけるようサポートします。
大企業の場合
大企業の場合でも、日常業務以外のイレギュラーな案件については、顧問弁護士に頼ることが多いと思われます。
法律と一口に言っても千差万別であり、これらすべての法的問題に対して、社内の弁護士(インハウス・ローヤー)に任せることができないからです。
メリット2 被害を最小限に抑えやすい
法的な問題が発生した場合、どれだけ早く動くことができるかが被害を拡大させない重要なポイントです。
初期対応が鍵になることが多くあります。
実際に、顧問契約のない会社の相談を新規で受けると、「もう少し早く相談してもらっていれば」と思うことが多々あります。
どうしても多くの弁護士は日々様々な案件を抱えているため多忙です。
そのため、問題が発生してから、会社が弁護士に相談しようと動きだしても、相談の予約がすぐには取れないということが起こりやすいです。
このことで、被害が拡大することがあります。
しかし、顧問契約を締結している企業の場合、顧問弁護士は、たとえ多忙であっても、最優先で対応してくれます。
会社側も顧問弁護士と契約していれば、気軽に相談をすることもできるため、早め早めに連絡することもできます。
そのため、法的な問題が仮に起こっても、そこからの被害を最小限に抑えやすいというのが顧問弁護士がいることのメリットの一つです。
メリット3 有利な交渉や解決が期待できる
法的なトラブルが発生した場合、相談者の業務内容や固有の事情によって採るべき解決策が変わってきます。
また、その会社にとって何がベストな解決なのかも異なります。
このとき、顧問弁護士でなくスポットの弁護士の場合、会社の実情を十分に把握できていないこともあります。
顧問弁護士は会社と継続的な関係を構築しており、内情の理解度が深まるため、より的確な解決策を提案することが可能となります。
また、取引先などとの交渉の際、「顧問弁護士から、契約書を作るようにうるさく言われている」とか、「顧問弁護士から、契約書にこの条項を入れてくれとうるさく言われている」などと、顧問弁護士の意見として伝えることができ、会社が直接的に要求するケースと違って、顧問弁護士の存在がワンクッションとなって、取引先との信頼関係を崩さずに、有利な取引・交渉も可能となるでしょう。
日弁連の調査資料によると「顧問弁護士の相談に関する満足度は、全分野で72.2%から96.2%の割合を示しており、顧問弁護士への相談が相当満足度の高いものと判断する」と記載されており、スポットの場合よりも満足度が高い傾向にあることが示されています。
メリット4 気軽に相談できる
初めて会う弁護士には若干聞きづらいことであっても、顧問弁護士であれば、気軽に相談できるというのが顧問弁護士のメリットです。
気軽に相談できるからこそ、例えば、新たな取引をはじめるとき、生じうるリーガルリスクと回避法を相談したりできるのです。
多くの弁護士、法律事務所はスポットの法律相談の場合、事前に予約をして、なおかつ事務所に赴いて面談での相談が必要です。
しかしながら、顧問弁護士として契約をしておけば、事前の予約なく、法律相談をすることができます。
その方法も電話、メールやオンラインなどの方法で相談することができるため、弁護士へのアクセスが非常に容易になります。
メリット5 リーガルコストを軽減できる
法務部の設置等を行うのは会社にとって負担が大きいため、なかなか実行できるものではありません。
実際、中小企業では法務部を設置するのは現実的ではありません。
直接には利益を生み出さない法務部に優秀な法務担当者を採用し、法務部の機能を維持するのは企業にとってコスト負担が非常に大きいものです。
この点、弁護士、法律事務所と顧問契約を結んで、顧問弁護士を設置すれば、法務部門のアウトソーシングとして、事実上法務部を設置する以上のメリットを享受できます。
また、税法上、弁護士への顧問料は、全額損金として処理できます。
そのため、弁護士との顧問契約は、法務部員一人を雇用することに比べれば、極めて低コストなのです。
インハウス・ローヤーと比べたメリット
上で解説したとおり、一部の大手企業では、司法試験合格者を自社の社員として採用するパターンも見受けられます(企業内弁護士)。
インハウス・ローヤーは、会社に雇用されており、常に指揮監督下にあるため、会社の内情について、顧問弁護士よりもくわしいという特徴があります。
しかし、専門知識の程度、実務経験の豊富さ等は、法律事務所の弁護士の方が圧倒的に勝っており、顧問弁護士としての機能を持たせることまでには至らないでしょう。
例えば、労働問題専門の弁護士は、多くの企業から依頼を受けて数多くの労働紛争・裁判等を経験しており、ノウハウを有しています。
このような弁護士と顧問契約を締結すれば、専門性が高いリーガル・サービスを受けることができるでしょう。
なお、大企業は、自社で行うべきことと顧問弁護士にサポートを求めることとを適切に分けて対応できるからこそ企業内弁護士を採用していると考えられます。
したがって、多くの企業は顧問弁護士のみをおくことでも十分にリーガルコストの軽減につながることになります。
スポットの弁護士、顧問弁護士、インハウスローヤーの特徴をまとめると下表のようになります。
項目 | スポット | 顧問弁護士 | インハウス |
---|---|---|---|
継続的なサポート | ✕ | ◯ | ◯ |
会社の内部事情 | ✕ | ◯ | ◎ |
契約形態 | 委託 | 委託 | 雇用 |
専門性の高さ | ◯ | ◯ | △ |
※あくまで一般的な傾向を示したものであり状況によって異なります。
顧問弁護士と契約することによるデメリットとして考えられるのは、コストです。
顧問弁護士には毎月一定の顧問料を支払うことになりますので、金銭的なコストはどうしても発生します。
しかしながら、これまで説明してきたメリットからすると、この金銭的なコストは税理士などの他の士業と比べても大きなデメリットにはならないと考えられます。
スポットの弁護士への相談と異なり、継続して顧問弁護士として、弁護士(法律事務所)と関係を築いておくことで、自社のことを理解してもらった上でスピーディーに対応してもらうことが可能になるとともに、何かあっても顧問弁護士がいるから大丈夫という安心感をもって、ビジネスを行っていくことができます。
顧問弁護士を選ぶ際に注意すべきポイント
それでは、実際に顧問弁護士を会社に導入しようと考えた場合に、どのようにして弁護士を探せばよいでしょうか。
以下、良い顧問弁護士を探す、顧問弁護士を選ぶ際のポイントをいくつかお伝えします。
専門性の高さ
企業が事業活動を行っていくとき、様々な法律の規制があり、これを無視することはできません。
特に、経済関連の法律に関しては、法令を順守しない場合、行政指導を受けることが想定されます。
そして、悪質な場合は送検され、刑事処分も考えられます。
また、刑罰の対象とはならなかったとしても、取引先や顧客から民事訴訟が提起されると、訴訟対応を強いられます。
裁判の内容によっては、企業の社会的な信用の失墜や従業員のモチベーションの低下等によって、企業の業績悪化が懸念されます。
したがって、法令の順守は企業にとって死活問題といえます。
しかし、企業が順守しなければならない法令はとても多くあります。
また、これらの法令は頻繁に改正されるため、情報収集が欠かせません。
さらに、企業に関する法令の内容は複雑であるため、素人の方にはわかりにくいという問題があります。
このような問題から、企業は、問題となる法律問題に精通した専門の弁護士からリーガル・サポートを受けるべきです。
例えば、労働問題について、年間数件の相談を受ける弁護士と、年間100件の相談を受ける弁護士とでは、力の差は歴然としています。
労働問題については労働法を専門とする弁護士に助言を受けることが重要なのです。
しかし、日本は、欧米ほど専門分野を持つという意識の弁護士が多くありません。
すなわち、一人の弁護士が幅広く何でも対応するという傾向があります。
このような状況のため「専門性が高い弁護士を探すこと」が最も重要なポイントとなります。
所属弁護士の人数、事務所の規模
顧問弁護士としてサポートしてもらうに当たっては、その法律事務所に所属している弁護士の人数が何人くらいいるかをチェックしましょう。
弁護士の人数が多い事務所の方が、一般的には①専門性、②法律相談のしやすさ、③スピード、④対応力が人数の少ない事務所に比べて高いと考えられます。
④についてですが、一人の弁護士の意見よりも様々な経験をしている複数の弁護士が互いに意見を出し合うことが容易にできるため、より質の高いアドバイス、対応を受けることができると思われます。
法律事務所全体がサポートしてくれること
企業が対応しなければならない法律問題は1つだけではありません。
企業の成長に伴い、または、環境の変化により、様々な法律問題が発生します。
例えば、労働法の専門弁護士の意見が必要なときもあれば、知的財産に関する専門弁護士の意見が必要な状況もあります。
したがって、企業は、弁護士1名だけのサポートではなく、法律事務所全体にサポートしてもらうべきです。
事務所に大勢の弁護士が所属していて規模があるように見えても、実際には弁護士同士が独立して経費を分担している法律事務所はたくさんあります。
このような場合、顧問契約の当事者は法律事務所ではなく、弁護士個人となっていると考えられます。
その結果、他の弁護士より専門家としての意見を聞くことができないため注意が必要です。
したがって、顧問契約は、弁護士個人ではなく、複数の専門特化した弁護士が所属する弁護士法人との間で締結することをお勧めします。
実績があること
顧問弁護士を探す際にポイントになるのは、やはりその弁護士、法律事務所が企業法務をどの程度取り扱っているかという実績です。
弁護士といえども取り扱っている分野が異なってきます。
個人向けの問題がほとんどで会社の案件はあまり取り扱った経験がないというという弁護士もいます。
したがって、顧問弁護士を依頼しようとする事務所がどの程度、顧問弁護士として会社をサポートしているかどうか、どのような業種の会社が顧問先企業となっているかをチェックしてみるとよいでしょう。
相談時の対応
顧問弁護士としてサポートしてもらう前に、一度その事務所の法律相談を受けるというのも良い顧問弁護士を探すのに効果的です。
実際に弁護士と話をすることで、弁護士への相談しやすさ、事務所の雰囲気、アクセスの良さ、弁護士のアドバイス力などを知る機会になります。
優れた洞察・分析力や専門性が高い弁護士であれば、相談者の状況を的確に分析し、課題を解決するためのゴールやそのための具体策を提案できるでしょう。
どのように顧問弁護士を活用していきたいかが明確な企業であれば、そのイメージを弁護士と共有できるかどうかを、相談を通じて確認するのがよいでしょう。
また、顧問弁護士の活用について、まだあまりイメージできていない企業であれば、ざっくばらんに話をすることで、その事務所の顧問弁護士としてのサポート体制を確認することが有益です。
顧問弁護士との契約時に気をつけるべき点は何か?
顧問契約を締結するときは、次の点に注意するようにしましょう。
サービスの内容
最も重要なポイントとしては、どのようなサービスを受けることができるか、という点です。
企業の法律相談だけなのか、それとも他のサービスも受けることが可能なのか、という点で大きな違いがあるので注意しましょう。
他のサービスとしては次のようなものがあげられます。
【 様々なリーガル・サービス 】
- 従業員の法律相談
- 法律情報の提供
- ウェブサイトへの掲載OK
- ハラスメントの相談窓口機能
- 公益通報の窓口機能
- 訴訟時等の場合の着手金減額など
顧問料の金額
顧問料は毎月定額を支払っていくこととなります。
また、顧問契約は継続的な関わり合いを通して、企業の内情を把握できるという点でのメリットがある契約です。
したがって、長期的な支払いが予想されます。
あまりにも高額な場合、長期的に見て負担が大きくなるため、金額の妥当性については、サービス内容に照らして慎重に判断しましょう。
契約期間
顧問契約は長期的なサポートが前提となっているので、自動更新の場合が多いと思われます。
更新期間(1年更新、2年更新など)や途中解約の可否で、契約内容が異なりますので注意してください。
デイライト法律事務所の顧問サービスの特徴
当法律事務所の顧問サービスの特徴について、ご説明します。
デイライト法律事務所は、すべてのクライアントに最高品質のサービスを提供することを最重視しています。
そのために、当事務所は、開設以来、すべての弁護士が「専門特化」することを第1の行動指針に掲げています。
すなわち、一口に、企業法務といっても、様々な業種やトラブルがあります。
このような多岐にわたる業種や分野に対して、「幅広く何でも対応する」というスタンスでは、専門知識は身につきません。
当事務所は、弁護士の注力業種又は分野を1〜2程度に限定し、対応するようにしています。
これにより、当該業種や分野について、圧倒的な知識と経験を身につけ、クライアント企業に対して、最高の結果をもたらすことを目指しています。
当事務所には、専門分野や業種に注力した弁護士が多数、所属しています。
また、弁護士の他、税理士、税務調査士、労務調査士等の専門職が所属しています。
これらの弁護士等の専門職が企業法務チームを構成し、顧問先企業を強力にサポートする体制を確立しています。
大勢の専門性がたかい弁護士が所属しているため、クライアント企業の相談内容に応じ、最適な弁護士が対応することを可能としています。
さらに、東京、大阪、福岡等の主要都市や海外にオフィスを擁し、その他国内外において複数の事務所と戦略的業務提携を構築しています。
このような組織体制により、顧問先企業の様々なジャンルの法律問題に対して、広範囲に専門性が高いリーガルサービスを提供するように努めています。
企業のトラブル解決は、日本屈指の規模である当事務所におまかせください。
通常、弁護士というと、裁判やトラブルが発生したときに対応するというイメージだと思います。
しかし、当事務所は、顧問弁護士の使命はそのようなトラブルを未然に防止することであると確信しています。
なぜなら、裁判やトラブルが発生した場合、企業は、社会的信用の失墜、担当者の方のご負担、弁護士報酬の支払いなど、様々なリスクや莫大なコストがかかってしまい、成長を阻害する大きな要因となってしまうからです。
そこで、当事務所では、各種セミナーやニュースレターの配信、ハラスメントや公益通報の外部窓口機能などのサービスを通じて、予防法務の体制構築をサポートしています。
弁護士の顧問料はこれまで月額5万円と画一的なものでした(弁護士会旧報酬規定)。
しかし、リーガルサービスを必要とする状況は、中小企業から大企業まで様々であり、決して同じではありません。
当事務所では、それぞれの状況に応じた、最適なリーガルサービスを提供したいとの思いから、企業のニーズに応じた顧問サービスを提供しています。
企業様において顧問契約をご締結していただいた場合、契約企業様は何回でも相談料は無料です。
また、顧問契約をご締結していただいた企業様の関連会社も、別途顧問契約を締結していただくことなく、原則として無料で法律相談が可能です。
更に、契約企業様だけでなく、役員・従業員様の法律相談につきましても、無料とさせていただいております。
「顧問弁護士がついている」ことをアピールできると、企業の信頼関係が増したり、敵対的な勢力を牽制したりすることができます。
印刷物やウェブサイトに顧問弁護士として当法律事務所を掲載していただくことが可能です。
デイライト法律事務所の顧問サービスの料金
当法律事務所では、企業のニーズに応じたサービス内容と顧問料を設定しております。
月額顧問料は次の3つの中からお選びいただけます。
- スタンダードな料金 5万5000円
- 弁護士の活用頻度が低い企業向け 3万3000円
- 弁護士の活用頻度が高い企業向け 11万円以上
当事務所の顧問サービスの内容と料金については、以下のとおりです。
法律相談は、直接事務所にお越しいただくことはもちろん、電話、メール、Zoomなどのオンラインでも対応可能です。
法律相談の対象:会社のほか従業員や紹介者の方も無料で法律相談が可能。
顧問料に応じて、一定時間内での契約書等の文書のチェックや作成等が可能です(下表)。
月額顧問料 | 月稼働時間 | 超過料金(h) | 着手金減額 |
---|---|---|---|
3万3000円 | 1時間 | 5万5000円 | 25% |
月稼働時間:契約書等のチェック及び作成などの業務に無料で対応できる時間
3万3000円の顧問料の場合、月1時間までは費用が発生しません。
1時間を超えた場合、1時間当たり5万5000円のタイムチャージが加算されます。
交渉や裁判等のご依頼を受けるとき、着手金から25%を減額します。
月額顧問料 | 月稼働時間 | 超過料金(h) | 着手金減額 |
---|---|---|---|
5万5000円 | 2時間 | 2万7500円 | 50% |
月稼働時間:契約書等のチェック及び作成などの業務に無料で対応できる時間
5万5000円の顧問料の場合、月2時間までは費用が発生しません。
2時間を超えた場合、1時間当たり2万7500円のタイムチャージが加算されます。
交渉や裁判等のご依頼を受けるとき、着手金から50%を減額します。
月額顧問料 | 月稼働時間 | 超過料金(h) | 着手金減額 |
---|---|---|---|
11万円 | 5時間 | 2万円 | 75% |
月稼働時間:契約書等のチェック及び作成などの業務に無料で対応できる時間
11万円の顧問料の場合、月5時間までは費用が発生しません。
5時間を超えた場合、1時間当たり2万円のタイムチャージが加算されます。
交渉や裁判等のご依頼を受けるとき、着手金から75%を減額します。
上記の定型的なもののほかにも、ご要望に応じた顧問サービスをご提案可能です。
例:社内会議への出席をご希望される場合 月額顧問料33万円〜
デイライト法律事務所では、一般的な顧問サービスに加えて、以下の様々なサポートをご提供しています。
- 交渉や裁判のときのサポート
示談・訴訟等の代理人弁護士として対外的な活動を行う場合は、上記タイムチャージ制で弁護士費用を算定するのではなく、別途「着手金・報酬金」を定めて、弁護活動を行います。
タイムチャージ制の場合、クライアント企業の予想を超えた弁護士費用が発生する可能性があるため、双方にとって望ましくないからです。
対外的な活動を行う場合、当事務所報酬規程から割引をした金額(上表のとおり、顧問料に応じ、着手金から25~75%減額)でご依頼可能です。 - 従業員も無料で法律相談が可能となります(会社の利益と反するものは対象外となります。)。
家事事件、交通事故、債務整理、刑事事件等の専門弁護士が対応しますので、会社の福利厚生を強化させることができます。 - 当事務所をハラスメントや公益通報の外部相談窓口として設置可能です。
- 労働組合との団体交渉のサポートが可能です(費用は別途ご相談ください。)。
- 企業内での従業員向けのセミナー開催も可能です(費用は別途ご相談ください。)。
- 税務署の税務調査、労基署の労務調査時に立会が可能です(費用は別途ご相談ください。)。
- 企業が知っておきたい法律情報に関するニュースレターやメールマガジンを定期的に配信します。
- 当事務所の専門家ネットワークを活用することが可能です。
- ホームページやその他印刷物で当法律事務所を顧問弁護士として表示することが可能となり、取引先等に対する企業の信用力をアップできます。
当事務所の顧問サービスについて、くわしくは企業法務チームの担当弁護士までお気軽にご相談ください。
顧問弁護士についてよくあるQ&A
社員の相談は可能?
通常の顧問契約は会社からの相談しか受け付けていないと思われます。
顧問契約のご相談時に確認されたほうが良いでしょう。
デイライトでは、会社だけでなく、従業員様の個人的な法律相談も可能です。
当事務所には、企業法務専門の弁護士のほかに、家事事件、交通事故、債務整理、刑事事件などの専門弁護士も多数在籍していますので、個人的な法律相談に対しても専門性が高いサービスを提供できます。
中小企業でも顧問弁護士は必要なの?
上で説明したように、中小企業は大企業と異なり、通常法務部門がありません。
そのため、常に法的トラブルのリスクを背負っています。
ひとたび法的トラブルが発生すれば、事態は容易には解決せず、経営者や担当者の方が対応に追われ、社内は大混乱に陥ることが懸念されます。
顧問弁護士がいれば、そのような法的トラブルの発生を未然に防げる可能性が高まるため、むしろ必要性は高いと考えられます。
個人事業主でも顧問弁護士の契約ができる?
個人事業主の方でも、ビジネスを展開されていれば、法的なトラブルに直面する可能性があります。
そのため、デイライトでは、個人事業主の方でも顧問契約の対象とさせていただいています。
セカンド顧問も可能ですか?
近年、企業も弁護士の専門性の重要さを認識するようになっています。
現在契約中の弁護士の専門性が乏しい場合、他の弁護士と顧問契約を締結するなどして、1つの企業が複数の顧問弁護士のサポートを受けることは珍しくありません。
当法律事務所もそのようなセカンド顧問のご依頼を受けることがあります。
遠方の企業でも顧問契約は可能?
法律事務所の状況によります。
当法律事務所では、顧問先との対応にオンライン(Zoomなどの各種WEB会議)を活用しています。
また、専門性を求めて全国からのお問い合わせをいただいており、実際に当事務所が所在しない都道府県の顧問先企業も多数サポートしています。
顧問弁護士とのトラブル時の対処方法を教えて下さい。
顧問弁護士は、企業をサポートするために存在しています。
そのため、クライアントである企業とのトラブルは極力回避したいと考えているはずです。
しかし、中にはトラブルに発展してしまうことも考えられます。
トラブルとしては、処理方針や弁護士報酬についての不満、弁護過誤(弁護士側のミス)などが考えられます。
このような場合、次の対処方法を試されてはいかがでしょうか。
まず、顧問弁護士に対し、トラブルの内容についての説明を求めてみましょう。
弁護士はクライアントに対して説明責任があります。
したがって、誠意を持って説明してくれると思われます。
顧問弁護士の対応に納得できない場合、セカンドオピニオンとして他の弁護士に相談してみるという方法もあります。
顧問弁護士を信頼できない場合、契約の解除を検討します。
ただし、顧問契約で解除が制限されている可能性があるので注意しましょう。
顧問先企業との利益相反とは何?
利益相反とは、弁護士があるクライアントからの相談等を受けることで、他のクライアントの利益を害してしまうことをいいます。
例えば、X弁護士がA社から取引先企業のB社への売掛金の回収方法についての相談を受けていたとします。
この場合に、X弁護士がB社からもその売掛金の支払い義務についての相談を受けると、A社とB社の利益を害するおそれがあります。
そのため、利益相反行為となり、弁護士法違反となります(弁護士法25条)。
上記は対立構造がわかりやすく、利益相反が明確ですが、微妙な事案も多くあります。
そのため、利益相反についてお悩みの場合、くわしくは専門の弁護士までご相談されてください。
まとめ
以上、顧問弁護士について、必要性、メリットやデメリット、顧問弁護士の選び方などを解説しましたがいかがだったでしょうか。
顧問弁護士は企業の成長と発展を支える上で、非常に重要な存在です。
顧問弁護士がいることで、経営陣は経営に集中できます。
また、トラブル時に被害を最小限に抑えることができるでしょう。
また、有利な交渉や解決が期待できる、気軽に相談できる、リーガルコストを軽減できるなどのメリットも大きいです。
企業が成長・発展するためには「法」を味方につけ、「法」を駆使していくことがポイントとなります。
そのためには、専門性が高く、事務所が一体となってサポートしてくれる法律事務所を選ぶことが重要です。
当事務所の企業法務チームは、企業法務に注力する弁護士、税理士、その他専門職で構成されており、企業の成長を強力にサポートしています。
Zoomなどのオンライン相談も受け付けていますので、顧問弁護士をお探しの方はお気軽にご相談ください。