「取引先が品物の代金を支払ってくれないので困っている・・・。」
「家賃・賃料の未払いを支払って欲しい・・・。」
「お金を貸したが早く返金をしてもらいたい・・・。」
このようなお悩みを抱えられている方はいらっしゃいませんでしょうか?
資本が磐石でない多くの中小企業にとって、未収金が発生することで死活問題につながることもあります。
また、数少ない資本を用いた再投資の貴重な機会を失うことにもつながりかねません。
当事務所では、未収金の債権回収のサポートも行なっております。
①債権回収する場合の留意点
1 債務者の現住所の確認
債務者に金銭を貸した後、債務者が住所を変えたり、行方不明になってしまうことがあります。
この場合、債務者の現在の住所を確認しないまま、文書を発送しても本人に届かないことがあります。
したがって、まず、債務者の現在の住所を把握することが必要となります。
債務者の現在の住所が分からない場合にも、以前の住所が分かれば、住民票の調査などを通じて現在の住所を把握することができます。
また、住所が分からなくても電話番号が分かれば、弁護士会の照会手続(弁護士法第23条の2)などを通じて、現在の住所を把握することができます。
さらに、職場が分かれば、場合によっては現在の住所を調べることも可能です。
2 債務者の財産の把握
次に、債務者の所在が分かったとしても、債務者に全く収入や財産がなく、返済の意思もないような場合には、現実的には、債権回収が困難な場合があります。
したがって、債権回収を図るにあたっては、まず、債務者が現在どこかに勤めているか、自営の場合には業務を行っているかを把握する必要があります。
また、どこに預貯金口座を持っているか、不動産があるか、自営の場合には、どういう取引先があるか(売掛金があるか)についてもできるだけ調べる必要があります。
さらに、裁判で勝った場合でも、相手方が素直に払わなければ強制執行をする必要があります。苦難の末、勝訴判決を勝ち取っても、相手が無資力では、債権はおろか弁護士費用すら回収できない場合もあることには注意が必要です。
3 債務者が債務整理を行った場合
この場合には、回収可能性が極端に少なくなってしまうことを覚悟して下さい。ただ、相手が破産手続きをすると告知してきた場合でも、手続きが開始するまで、1年以上かかる場合もあり、その場合に回収できる手段もありますので、弁護士へご相談ご検討下さい。
(1) 債務者が実際に破産手続きを取った場合、各債権者に通知が来ますので、債権届を提出して下さい。
換価可能な財産がある場合には、原則として按分で返済が受けられます(もっとも、弁済率は低い場合が一般です)。
仮に、債権者が破産手続き前に訴訟を起こしているような場合には、訴訟は中断されます。
(2) 債務者が民事再生の手続きを取った場合にも各債権者に通知が来ますので、債権届を提出して下さい。
債務者が、通常再生の手続きを取っている場合には、訴訟は中断されます。
ただ、債権者が個人再生の手続き前に訴訟を起こしているような場合には、破産の場合と異なり、訴訟は中断されません。
(3) 債務者が任意整理の手続きを取った場合、通常、弁護士が債務者の代理人としてつきますので、その弁護士と交渉することになります。
任意整理の場合、債権者としては、法律上減額する義務などは無いので、債権全額を請求することはできますが、債務者が途中で破産・民事再生といった法的整理に切り替える可能性もありますので、債務者の負債総額、財産状況などから、どのような内容で和解するか考えることになります。
②債権回収の8つの方法
債権回収の方法としては以下の8つが挙げられます。
(1)弁護士が、貴社の取引先に電話して催促する
債権や売掛金が回収できない場合、多くの会社では、弁護士に相談する前に、自社で電話等による催促を行っているものと思われます。
このような電話等での催促の場合、相手方にそのままにされ、効果がほとんどみられないことが多いです。
しかし、弁護士が電話で交渉することで、取引先の反応が変わることがあります。
つまり、弁護士が電話することで、取引先にこちらの本気度が伝わり、「支払わざるを得ないな」と思われる可能性が高くなります。
また、当事者同志では、感情的な対立点が存在することも少なくないため、直接交渉では言い合いで終わることが多く、交渉がスムーズに行かない場合もあります。
弁護士の場合、感情的な対立点をぬきに、ビジネスライクに交渉をすることで、交渉がスムーズにいくことがあります。
(2)弁護士が、(弁護士名で)内容証明郵便で催促・督促する
弁護士に依頼しなくても、自ら、売掛金等を請求する内容の内容証明郵便を作成してこれを相手方に送付することもできます。
しかし、会社が会社名で内容証明郵便を送付した場合、相手方に対する強制力はさほど強くありません。
感情的対立のある当事者同志ですから、電話での交渉の場合と同じく、交渉がスムーズにすすまず、そのまま放置されることが多いからです。
これに対して、弁護士が弁護士名で内容証明郵便を送付した場合、取引先は「このまま支払わないでいると裁判を起こされるかもしれない」と考え支払いに応じる可能性が高くなります。相手方の性格として、権威に弱い人に対して、効果を発揮する場合が多いように感じられます。
実際、内容証明郵便には、「期限内に支払わなければ法的措置を講じる」と明記しますので、相手方は、「支払わざるを得ないな」と思われる可能性が高くなるのです。
(3)民事調停手続をする
調停は、裁判所を利用する手続ですが、弁護士を立てずに、自ら調停の申立を行うことも可能です。しかし、調停は、訴訟ほどではないにしろ、手続上の決まりごとがあり、弁護士を立てずに申し立てをする場合、苦労することが多いです。
これに対して、弁護士に依頼して調停を申し立てた場合には、相手には、裁判所へ出頭しなければならないという気持ちや、このまま調停が成立しなければ次は訴訟になるという気持ちが、芽生えやすいと言えます。
(4)支払督促手続
支払督促手続とは、「支払督促」という書類を裁判所から相手方に送付して貰い、相手方の反論がなければ、「支払督促」に記載された債権を公的に認めて貰うことができるという制度です。
しかし、相手方が異議を申し立てた場合には、「支払督促」は効力を失ってしまいます。
また、「支払督促」は、必ず相手方の住所地ないし事務所所在地の簡易裁判所書記官に申し立てる必要があり、相手方の住所が判明していない時には利用できません。
このようなことから、支払督促手続について弁護士が代理して行うケースはごく稀です。
(5)少額訴訟手続
少額訴訟手続とは、60万円以下の金銭の支払を請求する訴訟を提起する際に求めることができる特別な訴訟手続で、原則として審理を1回のみで終わらせて直ちに判決を行う手続です。
しかし、少額訴訟も、相手方が応じず、通常訴訟への移行を求めた場合には、通常訴訟へ移行されてしまいますので、時間を浪費するおそれがあります。
また、少額訴訟によってなされた判決に、相手方が異議の申し立てた場合、再び審理をやり直すことなり、大きく時間を浪費してしまいます。
このようなことから、弁護士は、あえて少額訴訟手続を選択せず、最初から通常の訴訟手続を選択することが多いといえます。
(6)保全処分の利用(仮差押と仮処分)
保全処分とは、債務者の財産処分を事前に防止して保全しておく手続きです。
証書判決を得ても、そのときにすでに債務者の財産が散逸していては勝訴判決が無に帰すことになるので、その前に債務者の財産の散逸を防ごうとする制度です。従って本来は、債権回収の手段ではありません。
しかし、保全処分を行うと、債務者に心理的圧力を与えて(例えば、銀行預金への仮差押は、債務者の銀行取引を一旦停止させることになります)、債務者の弁済を促す効果があります。保全処分には、仮差押と仮処分があります。
仮差押
仮差押は、金銭債権の執行を保全するものであり、典型的なものは、債務者の銀行預金への仮差押、債務者所有不動産への仮差押です。売掛債権への仮差押もあります。
仮処分
仮処分は、金銭債権以外の債権(例えば、物の引渡請求権)の執行を保全するものです。
(7)訴訟手続(通常訴訟手続)
訴訟手続は、債権・売掛金を回収する方法としては一番の正攻法です。
訴訟手続については、時間がかかるというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は第1回目の裁判期日終了後直ちに判決が出るケースも多いのです。
また、相手方が裁判期日に出頭した場合でも、事実関係を争うことなく「一括では支払えないので、分割払いにして欲しい。」等と和解の申し入れをしてくるケースも多く、直ちに判決とはいかないにしても、裁判上の和解交渉がまとまらないときはいつでも和解交渉を打ち切って、早期に判決を貰うことができます。
また、相手方の住所が判明しない場合でも、公示送達により、判決を貰うことが可能です。
(訴訟手続により判決を貰ったとしても、取引先が判決に従わず、代金を支払ってくれないことも考えられます。しかし、その場合でも、強制執行手続の前提として先に判決を取得しておくことには大きな意味があります。)
(8)強制執行手続
確定判決、和解調書、調停調書などは「債務名義」と呼ばれ、相手方が任意の支払に応じない場合、裁判所に強制執行を求めることができます。
強制執行には、大きく分けて、(1)不動産執行、(2)動産執行、(3)債権執行の3種類があります。
不動産執行の場合、対象不動産に抵当権などの担保がついているときは要注意です。対象不動産に担保力がないときは、強制執行は困難だからです。
債権執行の中心は銀行預金の差押えといえます。銀行預金を差押えれば、回収すべき金額の範囲内である限り、差押時の預金残高をそのまま回収することができます。ただし、相手方が同銀行に対して借入金があるときは、先に、同銀行が預金と借入金を相殺してしまい、回収が不能となることもあります。
また、相手方が企業であれば、仮にその口座にほとんど預金がなかったとしても、銀行は差押えがあると同企業との取引を停止しますので、同企業の営業に重大な支障が生じるため、任意に代金を支払わせることができる場合があります。
また、相手方が債権を有している相手方の取引先等の第三債務者が判明している場合には、相手方の有する当該債権を差押えることもできます。相手方は、自らの取引先からの信用を失いたくないとの理由から、差押後に任意に支払ってくる可能性もあります。
このように、強制執行手続は債権回収における最後の手段として非常に有効です。
最初から弁護士に相談しておけば、強制執行まで含めた債権回収のトータルサポートが可能です。
取引先が、債権・売掛金を支払わない場合、まずはお気軽に弁護士にご相談下さい。
③取引先が破綻した場合
弁護士が、あなたの会社の売掛金・債権を回収します!
取引先が破綻してしまった場合、債権の回収は非常に困難です。
特に、不動産担保を有していない企業にとっては、その後の破産手続等において配当金を受領できるだけで、債権のうちの大半は回収不能として諦めるしかないケースも多いかと思います。
しかしながら、「諦めるのは早い」ケースもあります。
1 相殺により、回収する
取引先が破産しても債権回収が図れるケースの代表例として「相殺」が挙げられます。
相殺とは、当事者間で対立する債権を相互に保有し合っているような場合、両債権を同じ金額分だけ共に消滅させることができるという制度です。
取引先が破綻してしまった場合でも、取引先に対して債権と債務の両方が存する場合には、両者を相殺することにより、取引先に対する債権を回収したのと同様の効果を得ることができます。
もっとも、相殺の意思表示を、誰に対して、どのように行うべきか、頭を悩まされるところと思います。
弁護士を利用すれば、破産手続等の法的整理手続に応じて意思表示の相手方を選択し、内容証明郵便を利用する等、より確実な方法で、相殺の意思表示を行うことができます。
2 担保権を実行する
破産手続開始決定があっても、債権者の担保権は制限されることなく行使することができるのが原則です。債権者の担保権は別除権と呼ばれます。
所有権留保で商品を取引先に売買し、取引先が倒産した場合、売買契約を解除し、取引先の了解をとった上で商品を引き上げます。
取引先の了解をとらないと、窃盗罪などに問われるおそれがあるため、書面で了解をとります。了解をとる場合、代表者か取引先の弁護士とすべきです。
取引先がその商品を既に第三者に転売している場合、その第三者が商品の所有権を即時取得していることが考えられること、また、取引先との売買契約の中で第三者に転売されたときは所有権留保が解除されると定められている場合がありますので、その場合は所有権留保の方法によることは難しくなります。
抵当権の場合、裁判所に対し、競売の申立てを行います。申立に際して必要な書類は、抵当権の設定登記に関する登記簿謄本です。
登記簿謄本は、他にも抵当権の存在を証明する確定判決でもよいですが、大抵は登記簿謄本で申立てを行います。
また、申立を行う裁判所は、対象不動産の所在地を管轄する地方裁判所に行います。
3 債権譲渡
取引先は、それまで何らかの事業を行ってきた以上、第三者に対して金銭債権を持っていることも十分に考えられます。
例えば、取引先が別の会社に対して売掛金を持っている場合です。その場合、取引先からその債権の譲渡を受け、あなたが譲り受けた債権を第三者に対して行使することにより、債権の回収を図ることができます。
債権譲渡は原則として自由にできますが、債権譲渡を第三者に対抗するには、確定日付ある証書により、取引先から第三債務者に対して譲渡の事実を通知させる必要があります。内容証明ならば確定日付がありますので、内容証明を用いて、取引先に譲渡の通知をさせましょう。
4 自社製品・他社製品を回収する
自社製品を回収する方法については、上の所有権留保の実行方法で記載したとおりです。
売買契約を解除し、所有権に基づいて回収しますが、取引先の承諾が必要になります。また、他社の製品を取引先から譲り受けることにより、代物弁済として債権の回収を図ることができます。
もっとも、この場合はもともと第三者の財産だったものですから、「自社の製品を回収する」場合よりもさらに取引先の同意書を取っておく必要が高くなります。
この場合も同意書がない場合は窃盗罪に問われる恐れがあります。さらに,この場合は取引先も容易に同意書を交付しないかもしれません。
そこで、取引先に対し、「弁済するまでこの製品は預かっておく」と申し向け、預かり証を取引先に交付する、という手段も考えられます。
ただ、一つ間違えば危険な方法ですので、実行する場合は弁護士に相談下さい。
④当事務所の債権回収の特徴
当事務所の債権回収における問題解決の特徴は以下のとおりです。
1 迅速な対応
相手方が、支払いを拒む理由としては、資金繰りが厳しい場合が多いです。その場合、他の債権者と競業したり、しばらくすると、相手方が債務整理手続きを取ってきて回収が難しくなります。
そのため、債権回収には、迅速かつ適切な対応が必要となります。
当事務所では、債権回収の事情を熟知し、相談及び対応を迅速に行うよう心がけています。
2 回収費用リスクの低減
弁護士に依頼しても弁護士の着手金や報酬で、かえって費用がかかってしまうリスクがあるので、結局泣き寝入りせざるを得ない場合があると思います。
債権回収にあたって、 費用倒れを心配するのは当然です。そこで、当事務所では、弁護士を依頼した際に頂戴する着手金を最小限に抑え、 実際に回収できた場合の報酬に重くように致しました。
仮に回収できなくても費用負担のリスクは極力少なくなっていますので、是非一度ご検討下さい。
例えば、内容証明作成や交渉については、弁護士の着手金(最初に戴くお金)は、債権額200万円以下では、10万円程度で済みます。
詳細は弁護士費用のページをご覧下さい。
3 回収可能性の吟味
弁護士に依頼したからといって、必ず、債権を回収できるわけではありません。 例えば、相手が自己破産をしてしまえば、原則として債権は回収困難です。
また、裁判に勝ったとしても、 執行できる財産が見あたらなければ、勝った判決は、単なる紙切れになってしまいます。
逆に、財産を他人名義に移しているからと言って、必ずしも諦める必要がない場合もあります。 よって、どこまで手続きを進行させるかについて、専門家のアドバイスが必要なのです。
当事務所は、むやみに裁判を起こして、「裁判に勝訴しましたので報酬○○円」ということは致しません。 これも弁護士費用を報酬の方に、重視するメリットです。
4 分割金の管理
「今は、支払いが大変なので、月○○円ずつの支払いでいいですか」というのはよくあります。
ところが、1回あたりの支払い金額が小さかったり、回数が長かったりすると、 管理が面倒だからと、このような分割による回収を嫌がる方もいらっしゃいます。
会社にとって貴重な人的資源をこのようなことに利用するのは、もったいないことです。
当事務所では、このような分割金の支払い管理も行っております。
⑤売掛金の回収
債権回収の中でも、売掛金の回収については、以下の方法が挙げられます。
1 電話や直接交渉
掛金回収では、いきなり内容証明郵便や裁判手続はあまり使いません。電話や直接交渉することができる状況であれば、それで解決できる方が早いからです。
また、弁護士からの催促は、相手にプレッシャーを与えることができるので、それだけで、支払いを約束してもらえることも多いです。
2 内容証明郵便による催告
内容証明郵便とは、「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の手紙を出したのか」ということを郵便局が公的に証明してくれる手紙です。
なお、その内容の手紙を送ったという事実の証明であり、書いてある内容が正しいかどうかは証明しません。
後で「そんな書類は届いていない」という言い訳を封ずることができます。しかし、ここで注意すべきことは、必ず配達証明を付けるということです。
配達証明とは、相手に何月何日に配達したのかを、手紙の差出人に証明してくれるものです。この配達証明がないと、内容証明郵便だけでは、相手に手紙が到達したことを証明できません。
この証明はオプションですので、差し出す際には忘れないようにしましょう。
3 公正証書
公正証書とは、公証役場にいる公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書です。
公文書ですから高い証明力があるうえ、債務者が金銭債務の支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続きに移ることができます。
すなわち、金銭の貸借や養育費の支払など金銭の支払を内容とする契約の場合、債務者が支払をしないときには、裁判を起して裁判所の判決等を得なければ強制執行をすることができませんが、公正証書を作成しておけば、すぐ、執行手続きに入ることができます。
売掛金回収内容を公証証書にしておくと、いきなり強制執行によって売掛金を回収できるので、債務者に対して強い心理的圧力を与えることができます。
4 債権譲渡
どうしても相手から売掛金や貸付金等の金銭債権を回収できない場合、その相手が第三者に対して持っている金銭債権がないか調べます。金銭債権があれば、債権譲渡という手段も可能です。
いろいろな方法がありますが、例えば、あなたの会社(X)の取引先(Y)が別の会社(A)に対して売掛金を持っている場合です。
その場合、債権譲渡契約を交わし、取引先(Y)からその債権の譲渡を受け、あなた(X)が譲り受けた債権を第三者(A)に対して行使することにより、債権の回収を図ることができます。
この場合、取引先(Y)からAに対して債権を譲渡したことを内容証明で通知してもらいましょう(債権譲渡は原則自由ですが、これをしないと第三者に対抗できなくなります。)。
5 裁判手続き
①少額訴訟
少額訴訟は60万円以下の金銭支払請求に限定されている訴訟ですが、原則たった1日(1回の審理)で即日判決を言い渡される簡素、簡便な訴訟制度だということができます。
原則として被告の住所地を管轄する簡易裁判所に申立ることになりますが、たとえば、お金を貸した相手からの振込先が原告(貸主)の住所地の近くの銀行口座だと、そこが義務の履行地となり、その銀行の住所地を管轄する簡易裁判所が少額訴訟の管轄裁判所となりますので、遠方の相手に対してもわざわざ交通費をかけて出かけていく必要もなく、また原告(貸主)有利に売掛金回収が可能です。
②支払督促
支払督促は裁判所からに一方的に発してもらう支払督促状のことです。裁判所からの命令であり、無視すると強制執行申立てにより法的強制力まで付与されてしまいますので、相手に対する心理的圧力はかなり期待できます。
支払督促書面が来ただけで支払ってくれることもあるでしょう。
しかし、相手方の言い分を全く聞かずに自分の言い分を一方的に発することから、相手に言い分があれば(たとえ言い分がなくても)簡単に異議を申し立てられ、通常の訴訟に移行してしまうという難点、そして支払督促の申立ては、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てなければならない(郵送可)為、その通常の訴訟はその裁判所で行われてしまうという難点があります。
③民事調停
民事調停は、このまま双方が話し合っても解決しそうにない場合、裁判官や調停委員のアドバイスにより話し合いで円満に解決を図る手続きです。
このまま双方が話し合っても解決しそうにないが、アドバイスを受けることにより歩み寄ることができる可能性があり、いくらか減額してでも売掛金回収をしたいという場合に調停という制度は有効です。
⑥債権回収を弁護士に依頼するメリット
弁護士が、あなたの会社の売掛金・債権を回収します!
弁護士に依頼すると、交渉が有利になる
弁護士が代理人となって、債務者に内容証明郵便を送付するだけで、債務者が弁済に応じるケースも数多くあります。弁護士が代理人につくことで、請求に応じない場合はより強力な法的手段が講じられてしまう、との心理的プレッシャーが債務者に働くためです。
取引先が倒産する場合、債権回収は時間との勝負になります。交渉段階でできる限り早く回収しなければ、他の債権者に債務者の財産を持って行かれてしまうことも十分にあり得ますので、弁護士に委任して迅速に交渉を進めましょう。
最適な法的手段がとれる
債権回収のためには様々な方法が考えられます。債権回収の方法についてはこちら「②債権回収の8つの方法」をどうぞ。
全てのケースにおいて通用するベストの方法などなく、ケースごとに手段を模索することになります。
例えば、内容証明を相手方に送るだけでも、そのことが原因となって今後の取引が途絶えてしまうかもしれません。弁護士に相談したのならば、どの方法がもっとも適切なのかという判断が可能となり、最適な法的手段を採ることが可能になります。
訴訟を提起できる、強制執行ができる
内容証明を送る、民事調停を申し立てる、支払督促を申し立てる、といった方法が奏功しない場合は、最終的には訴訟を提起することになります。
しかし、訴訟は高度の専門性が必要となります。当方に有利な証拠を収集し、整理した上で当方の主張を説得的に行うための書面を作成する、といったことは大変な手間がかかる作業であり、専門家に依頼した方が合理的・経済的です。
また、訴訟で勝訴した後は、強制執行手続をしなければならず、これもまた煩雑です。弁護士に依頼することで、訴訟・強制執行を適切に遂行し、債権回収を図ることができます。
弁護士と、司法書士・行政書士の違い
内容証明郵便の作成等、債権回収を司法書士や行政書士に依頼する方法もありますが、司法書士や行政書士は、元々民事・商事のみならず刑事法まで含めたトータルな法的サポートを行うことを予定した資格ではないため、法的知識の正確性・豊富さの点で疑問がない訳ではありません。
また、内容証明郵便を送付した後の相手方との交渉については、簡易裁判所における代理権を有しない司法書士及び全ての行政書士は、弁護士法72条に抵触するため、原則として行うことができません。
このため、せっかく送った筈の内容証明郵便も、いわば「送りっぱなし」になってしまう恐れがあります。